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水墨画の道具の選び方を初心者向けに徹底解説

べべ・ロッカ

こんにちは。

墨絵師すみえしのべべ・ロッカです。

日本で長い歴史を持つ水墨画ですが、
いざ、初めてみたい! と思っても
ハードルが高いように 思われますよね。

まず初めに悩むのが、
「水墨画で使う道具」
についてではないでしょうか。

クロネコ

水墨画って、道具さえ揃えれば初心者でも描けるの?

偉ギィ

書道の道具なら持ってます。

皆さん、はじめに抱く疑問は同じですよね。

さて、この記事では
・水墨画をこれから始めたい
・水墨画の道具について知りたい
・実際に使っているものを知りたい

など、水墨画初心者の方に向けて
詳しく紹介していきたいと 思います。


↑こちらの動画でも道具を紹介しています!

水墨画に必要な『基本道具』は4つ

水墨画でメインに使う
筆・墨・硯・紙
の4種類の道具のことを
文房四宝ぶんぽうしほう
と言います。

水墨画は本来
これら4つの道具で気軽に描くことができる
シンプルな絵画なのです。

それをふまえて、水墨画を描き始めるのに
必要な基本道具はこちらです。

水墨画で使用する道具

・筆
・墨
・硯
・和紙
・顔彩
・とき皿
・水入れ
・下敷き
・タオル

このほかにも、
どんな絵を仕上げるかによって
さまざまな道具がありますが、
それはまた改めて紹介しようと思います。

まずは基本の道具がどんなものなのか
今回は「文房四宝」の4つに絞って、
ひとつひとつ見ていきましょう。

また、難しい読み方の道具もありますが、
それらを全て覚えなくても大丈夫!

「知識」が絵を描いてくれるわけでは
ありません。


自分に合った良い道具をパートナーに選び、
楽しんで描いてゆきましょう。

水墨画で使う『筆』を選ぶポイント

水墨画に限らず、
絵を描くときのイメージとして
私はざっくり分けて
2つの描き方があると考えます。


「線」と「面」です。

これら「線」と「面」を
どのように表現して絵にしてゆくのか、
その際に手助けしてくれるのが
様々な用途を持った筆たちです。

筆は特にたくさんの種類がありますが
ざっくり分けて

・線描き用=「線」

・彩色用=「面」

の2種類があるのだ、と
イメージするとよいでしょう。

ここで、それぞれどんな種類の筆があるのか
見ていきましょう。

水墨画で「線」を描く筆とは?

【線を描く=線描筆せんびょうふで

これらは線描き用に適した筆と言われています。

・削用筆(さくようふで)
・則妙筆(そくみょうふで)
・面相筆(めんそうふで)

削用筆の特徴

・線描きから彩色までオールマイティに使える

・墨のふくみがよく、コシがある

・イタチ毛、白狸毛、羊毛など

則妙筆の特徴

・柔らかくまろやかな線を描くのに適している

・たっぷりとしたふくみがある

・彩色にも使える

・羊毛など

面相筆の特徴

・とても細い穂先で繊細な線を描くのに向いている

・かななど細い字を描きやすい

・イタチ毛、白狸毛など

水墨画で「面」を描く筆とは?

【面を描く=彩色用筆】

面を描く際に
没骨もっこつ
(※附立つけたてとも言う)
という描き方があります。

これらは輪郭線を描かずに直接彩色したり、
隈取り(くまどり)することによって
描く技法のことです。

没骨筆(附立筆)の特徴

・穂先が長く、毛並みがよく揃っている

・描いた時の弾力性があって復元力がある
(復元力とは、描き終わった時に、穂先の状態が元の状態に自然に戻る力)

・白狸毛、羊毛、イタチ毛、馬毛など

・筆の種類は「長流」「玉蘭」「如水」など

水墨画用の筆「ギモンとまとめ」

【筆のギモン Q&A】

筆は、どれくらいの価格のものを買えば良いですか?

筆の種類にもよるので、
「これを買ってください」とは言えませんが
「買わないでください」と言えるのは
「100円ショップの筆」
などあまりに安価なものと、ナイロン筆です。
どちらも水墨画を描くことには向いていません。

書道の筆は使えますか?

基本的には、書と絵は違うので筆も変わります。
でも描く絵によっては使える場合もあります。

筆を買う際はできれば最初は、画材屋さんへ出かけ、
お店の方に相談して選んでみてください。

自分の描くジャンル
(書道・水墨画・日本画など)や、
絵の大きさ、テーマなどを伝えて選んでもらうのがよいかと思います。

いっぺんに色々揃える必要はなく、
初めは、線描き用、面描き用の2〜3本あれば十分ですよ!

水墨画で使う『墨』を選ぶポイント

墨の種類は、大きく分けて2つあります。

墨の種類2つ

・茶墨系の「油煙墨ゆえんぼく

・青墨系の「松煙墨しょうえんぼく

です。

油煙墨は
植物油(主に菜種など)を
燃やした煤(すす)で作られています。

松煙墨は
松脂(まつやに)の
多い松を燃やした煤(すす)で作られています。

(松煙墨は現在では、非常に手間がかかるため松脂の代わりに、代用品の油を使用しています)

私はそれぞれ簡単に
茶墨(ちゃぼく)
青墨(せいぼく)
と呼んでいます。

水墨画用の墨「種類と特徴」

文字通り、
茶墨はやや茶っぽい墨、
青墨はやや青っぽい墨
と思ってもらえたら
わかりやすいかもしれません。

墨に五彩あり、と言われるように
単純に茶系と青系といっても
墨の色は本当にさまざまです。

クロネコ

茶墨と青墨、どちらを使えばいいの?

べべ・ロッカ

どちらでも大丈夫!
墨の色を見てお好みのものを選んで下さい。

墨の色を見て、と言っても
(お店で試せる場合もありますが)
買う前に色なんてわかりませんよね。

最初はそれほど悩まなくても大丈夫です。
使っていくうちに色の違いも
見えてくると思います。

黒々と濃い墨を用いたい場合は、
茶墨を選んでください。
またほんのり茶味かかった黒は
温かみ・ツヤを感じられます。

私は生き物などを描く際に
茶墨を使います。
生き物の持つ躍動感が紙面から
よりイキイキと伝わります。

一方、青墨はしっかりすっても
真っ黒にはなりません。
そのかわり清々しい青みを含んだ
美しい発色が特徴です。

夏の風景や冬の雪景色に青墨を使えば
爽やかでクールな印象を演出することが
できます。

水墨画用の墨「ギモンとまとめ」

【墨のギモン Q&A】

墨はどれくらいの価格のものを買えば良いですか?

(あくまで私の感覚なので、必ずしもこれが正解というわけではないです)

最初は
3,000円〜5,000円くらいまでで
選んでみてください。

1,000円くらいからありますが日本でちゃんとした画材屋さんで買う3,000円台くらいの墨であれば粗悪であることはまずない、と思います。

古い書道の墨は使っていいですか?

これは使用してもOKです。

ただ、もし使う際にボロボロと欠けたりザラザラと砂混じりのような使用感があれば、それは処分した方がよい粗悪な墨かもしれません。

そのまま使い続けると、硯を傷めることにもなりますので気をつけてください。

それから、すってもすっても全然墨がおりない、黒くならない!という場合は墨のせいではなく硯が原因ということも考えられます。

墨汁を使ってもいいですか?

基本的に、水墨画作品を描く際には墨汁は使いません。

固形の墨をおすすめするのは
大きな理由として「膠(にかわ)」が入っているからです。

和紙に墨を定着させるために、
ノリの役割として膠が使われています。
墨汁にも少し入っているのですが、固形の墨に比べると弱いため、和紙に定着しにくいのでにじんでしまうのです。

せっかく描いた作品がジワジワとにじんで台無しになってしまったら悲しいですよね。

運筆練習や試し描き程度なら大丈夫ですが、ちゃんと制作する場合には必ず固形墨を使ってください。

固形の墨はかなり長持ちしますから
1つあれば十分でコスパも良いです。

手に入れた墨を使ってみて
まず慣れて欲しいと思います。

墨選びのポイントまとめ

・茶系と青系の墨があって、どちらを選ぶかはお好みで。

・初めての墨選びは、3.000円くらいのものでOK。(長持ちします!)

・書道用の墨も使えるが、粗悪なものには注意。

・墨汁は基本、使わない。

水墨画で使う『硯』を選ぶポイント

予算にゆとりのある方は
なるべく良いものを選んで下さい。

国産では、
・雨端(あめはた)硯
中国産では
・端渓(たんけい)硯

が有名で
比較的高価なものになります。

硯は奥が深い道具です。

硯を選ぶポイント

鋒鋩 ほうぼう

・大きさ

・重さ

・ビジュアル

などを基準に選ぶことができます。

順番にどんなものか見ていきましょう。

・鋒鋩(ほうぼう)

硯面の凹凸を鋒鋩ほうぼうといいます。
凸凹といっても目には見えない細かい
ギザギザだそうです。

墨をする=大根をおろす
とイメージしてみます。

おろし器が無骨なものだったら
キメの荒い仕上がりになり、
歯の細かいものだったら
ふわふわの大根おろしが出来上がります。

鋒鋩は摩擦が少なすぎてもダメだし
荒すぎても良くないのですね。

・大きさ

参考までに、
学童の書道でよく使われる硯のサイズは
四五平しごひら(135×75mm)
五三寸ごさんすん(150×90mm)
だそうです。

やや小さめサイズですが、
まずはこれくらいを
基準にしてはどうでしょう。

小さすぎると墨がすりにくく、
大きすぎると運ぶのが大変です。

・重さ

しっかりと墨をするために
どっしりと重い硯が理想です。

ただ、レッスンに通うなどで
持ち運ぶことを想定すると
あまり重いのはつらいですから、
用途に合わせて選んでください。

硯の種類によって、サイズは同じでも
重さが変わったりします。

・ビジュアル

墨をすることとは直接関係ありませんが
丸みのあるもの、四角なもの、
彫刻などが彫られたものなどもあります。

私は楕円形の丸みのあるものが好きです。
なぜなら、洗いやすいからです。

文房四宝の中でも、
硯は一生物と言える道具です。

最初にじっくり選ぶか、
とりあえずスタートして、
まずは墨をする実感を元に、
マイ硯を選ぶのも楽しいかもしれません。

また硯は必ず、
石製のものを使ってください。

安価なプラスチック樹脂製のものを
文房具屋さんで見かけますが、
あれで墨はすれません。

水墨画で使う『紙』を選ぶポイント

水墨画で使う紙は
和紙(日本産)と
中国産のものがあります。

中国製の宣紙(本画仙)は
吸水性が高くよくにじむため、
初心者には描きづらいと思います。

試してみたい場合は
ある程度経験を積んで、
水のにじみなどを
コントロールできるようになってから、
使ってみるとよいかもしれません。

日本産の和紙の種類は・・・

・画仙紙(がせんし)
・麻紙(まし)
・鳥の子紙(とりのこし)
・神郷紙(じんごうし)
・楮紙(ちょし)

などがあります。

紙の原料は・・・

・麻
・雁皮(がんぴ)
・楮(こうぞ)
・三椏(みつまた)
・桑(くわ)
・藁(わら)
・パルプ

などです。

私が普段使いする和紙は、
楮紙と画仙紙です。

私も愛用している画仙紙。ネットでも簡単に購入できます!↓

作品を描く際は、麻紙も使います。

楮紙は少しにじみが遅いので
「かすれ」を出すのに適しています。

画仙紙は
にじみが楮紙に比べて速いです。

慣れてくると、発色が良く安価なので
色々便利に使えますが、
奥深い墨色の美しさはそれほど望めません。

麻紙はにじみやすいので、
慣れるまでは難しい紙です。

1枚漉き
中厚(2号)
厚手(3号)

と、紙の厚みが色々あって、
好みで選ぶことができます。

麻紙に描いた墨色がなんとも言えず上品で
私はとても好きです。

また大きく分けて紙は、水を吸うか吸わないか
(にじむかにじまないか)
の2種類に分けられます。

人によっては
水を吸うタイプの和紙ではなく
鳥の子紙のような紙面に防水処理をされた
水がにじみにくいタイプの紙を使う
場合もあるようです。

私もYouTubeで水墨画の動画を
作っていますが、その中で実験的に
水を吸う紙と吸わない紙に同じものを描いて
その違いを比べたりしています。↓

【水墨画道具選び】まとめ

今回は文房四宝の4つ
筆・墨・硯・紙
にしぼって紹介してみました。

他にも便利で必須な道具は
たくさんありますので、
それらについては
また、紹介していきたいと思います。

道具はとても重要で、
上手に選んでうまく使い、大切に扱うことで
私たちが素敵に絵を仕上げる
手助けをしてくれます。

【4つの基本道具】についてプロの使用例をもとに解説↓

初めの一歩では
すごく悩んでしまうものですが、
道具屋さんでお店の人に相談して
選ぶのが良いと思います。

もしくは
絵画教室などに通っているなら
先生に相談するのがベストです。

楽しく道具選びができると
いいですね!

それでは、また。