花鳥画という言葉があるように、草花や鳥というテーマは絵画ではとてもなじみ深いものです。
花や鳥を単独で選んでも良いし、この2つを組み合わせるとさらに絵の中にストーリーが生まれます。
という人に向けて、今回はメジロの水墨画動画を使って描き方を解説したいと思います。
鳥はパーツごとに順番に描いてゆくと、そう難しくはありませんので大丈夫。
可愛らしい鳥が描けるようになると、グッと絵の世界が広がりますよ。
水墨画ならではのタッチを生かして、イキイキとした鳥を描いていきましょう!
まずは、水墨画3分動画「メジロを描く」を見ながら、さっそく筆を動かしてみたいと思います。
目次
【水墨画動画レッスン】ー鳥(メジロ)を描くー
水墨画3分動画「メジロを描く」(音声解説はありませんが音が鳴ります♪)
梅の木にとまったメジロを描きます。
まずはメジロを完成させてから、梅の木を描いていきます。
メジロ:墨、緑、黄
梅の木:墨
梅の花:赤、黄とオレンジ(花粉)
【水墨画の鳥を描く】1:最初はクチバシ・目から
・クチバシ(墨)
最初にいきなりクチバシから?!
と思う人もいるかもしれませんね。
鳥の特徴のひとつとして、クチバシがあげられます。
鳥の種類にもよりますが、クチバシは顔の外に出っ張ったように付いています。
その出っ張りの部分を先に描いておけば、後から描く顔がラクになりますよ。
・目(墨)
水墨画で鳥の目を描く場合は、キレイにまん丸にするのではなく、筆の穂先を使ってチョイチョイと形を作ってみてください。
まん丸すぎると、子供っぽい絵になる恐れがあります。
わざと崩すことで、適度な脱力感と大人の余裕を見せつけましょう。
・目のふちどり(緑)
メジロは目の周りが真っ白なのが特徴です。
あとから顔を塗る際に、白い部分を塗ってしまわないようあらかじめメガネを作っておくといいです。
【水墨画の鳥を描く】2:頭・羽根・しっぽ
・頭〜顔の部分(緑)
軽く頭の形を描きながら、顔全体も塗っていきます。
頭がポコっと丸くならないように注意。
わりと平たい形をしています。↓
顔の部分はていねいに描きます。
筆の穂先を使って、ゆっくりつつくように絵の具を置いてゆきます。
目の周りの白をつぶしてしまわないよう気をつけて・・・。
・羽根(緑)
メジロは頭からボディまでが一体化したような、丸っこいフォルムです。
首がないずんぐりしたイメージで描くと可愛らしさが出ます。
・羽根の先の部分(墨)
筆の穂先を立てて、線描きで何本かシュッと後ろ方向に向かって引きましょう。
・しっぽ(墨)
筆を動かす方向は、動画では外から中に向けて描いていますが、逆でもOKです。
中から外に向けて描く場合は、最後シャッと筆をはねないように注意。
(しっぽの先が乱れてボサっとなる場合があるため)
力を溜めるように筆をスッと止めます。
【水墨画の鳥を描く】3:胸・おなか
・胸(黄)
胸のあたりを黄で塗ります。
・胸からおなかのライン(墨)
筆の穂先を立ててスッと引きます。
この時、画像のようにワザと固いラインにすると、こなれ感が表現できます。
鳥の羽根がふわふわして丸っこい感じを出したい場合は、丸みのあるラインを引いてください。
・おなか(墨)
おなかの部分を軽く薄墨で塗ります。
こうすることで立体感が表現できます。
【水墨画の鳥を描く】4:足
・足(墨)
生きものを描くときに難しいパーツは、手足です。
鳥もまた特徴的な形をしていますが、バランスに気をつけて描きましょう。
足が出る場所は、おなかの後ろあたりですね。
足の指まで描いておきます。
枝につかまってキュッとお尻を上げたポーズですので、向こう側の足も少し見える状態。
足の指まで描いて鳥を完成させておきます。
こうすることで、この後に描く枝はメジロの足の指に合わせるだけで済みますので、とても簡単です。
枝が先では、ずいぶん難しくなります。
鳥が枝に止まっている図を描く場合は、先に鳥を完成させておくのは基本中の基本なので、ぜひ参考にしてみてください。
【水墨画の鳥を描く】5:梅の木
・梅の枝(墨)
空中に浮いたようなメジロですが、枝はその足の指の部分に合わせて、線を引いていきます。
目標が定まっているので、ラクだと思います。
こんな感じで、ちゃんと枝に止まりましたね!
足の指のところはギリギリに枝をキッチリ描ききる必要はありません。
少し余裕を持たせるのも、水墨画の味ですからね。
さて、梅の枝の方は、やはり梅らしさを出すために、枝のクロスをひとつ入れておきましょう。
梅の花や枝の詳しい描き方はこちら↓
【水墨画の鳥を描く】6:梅の花
・梅の花(赤)
梅の花を少し描いておきます。
赤い花が加わると一気に華やぎますね。
・梅の花芯(黄、オレンジ)
花が出来ました。
メジロと梅の花の図、完成です!
【水墨画の動物を描く】どんな鳥がいる?:種類と特徴
鳥は大きく、山に住む鳥(山禽:さんきん)と、水辺に住む鳥(水禽:すいきん)とに分けられます。
鳥の体型は、基本的に卵形ですが、それぞれ住む環境や習性によって、スタイルが違っています。
体のスタイルの違いはが分かりやすく出ているのが、クチバシです。
食べるもの(種子・肉・虫・貝・魚など)によって、クチバシの形が違います。
鳥たちが自分の食べるエサを取りやすいような形になっているんですね。
【水墨画の動物を描く】鳥を描く前の準備
鳥を描く前に、ぜひやって頂きたいことは「観察」です。
スズメやハト、カラスなどは人間の身近にいる鳥で、街中でもどこでも見かけます。 でも、どんな姿をしていたか?特徴は?と聞かれたら、ええ〜っと・・・・とちょっと思い出せない。 鳥は動きも素早いので、じっくり観察するのは難しいものですが、飛び方や歩き方、体の動きなどの違いなら見分けることができると思います。 たとえば、スズメとハトの歩き方。 スズメはチョンチョンとジャンプするように移動します。 ジャンプ歩き=ホッピング と言うそうです。 基本的に人間とは全く違う体型をしているので、観察していると面白いです。 教室で生徒さんがやりがちな、鳥の失敗例を紹介します。 では、お茶目な失敗例を5つあげてみたいと思います。 まず、鳥は最初にクチバシから描きます。 これは、よく見かけます。 カーブがよりキツくなると、猛禽類=肉を食べる系のワイルドな鳥に近づいてしまいます。 これも、よくあります。 これに関しては、 次はボディ編です。 これもやってしまいがち。 鳥のふくらみを作るのは「胸」のところです。 ふくらスズメなど、冬に羽毛を膨らませてまん丸になっている鳥は可愛いですが、あれはあくまでも毛を膨らませているだけ。 鳥は、太ってしまったら飛ぶことができなくなって大変です。 お腹はスッキリさせてあげてくださいね。 やはり、ふわふわなイメージに引っ張られるのか、よく見かける猫背鳥。 羽根の部分の筋肉がグワっと目立つ鳥もいますが、小鳥の場合スッと自然なラインがいいですね。 漫画やイラスト的な表現ではありかもしれませんが、これはちょっぴりズッコケています。 どれも可愛い失敗例でした。 メジロの描き方ポイントまとめです。 顔のある生きものを描くことは、花や風景に比べて時にデッサン力が求められる場合もあります。 水墨画は細密画ではありません。 思い通りにいかないことがたくさんあると思います。 でも、大丈夫。 あなたの描く鳥が、時にユニークであり、時にホッとさせてくれたり、イキイキとした作品になるように願っています! それでは、また。
全然違いますが、思い出せますか?
ハトはトコトコと交互に歩いて移動します。
カラスは、両方です。
トコトコ歩き=ウォーキング【水墨画の鳥を描く】よくあるユニークな失敗例をご紹介
大失敗!というほどではありません、ご愛嬌・・・ということでむしろ、笑いが起きて癒されたり、ということの方が多いですね。
が、このクチバシでちょっと失敗・・・?という場合が時々見られます。
スズメなどのクチバシは、まっすぐのラインが自然ですが、ついカーブをつけてしまって、インコ系の鳥になってしまうパターンです。
鳥は種類にもよりますが、わりと平らな頭の子が多い印象です。
「頭を描かなきゃ」=「頭は丸いもの」
というイメージが、多くの人に先入観としてあるのでは、と推測しています。
胸の丸みをカーブで描いたら、下にくるおなかはまっすぐ平らにしないと、ポッコリになってしまいます。
なので、食べて即ウンチ、と忙しく排泄して常にスリムな体型を維持しているんですね。
足の指が胸のラインから前に出てしまうと、重心がくずれ、おっとっとになりますので、ご注意。
ユニークな生きものたちが出来上がった時には、いつも明るい気持ちにさせられるので、本当は楽しみにしています。
生徒さんたちが上達していくにつれ、面白い子たちが見られなくなっていくので、嬉しいような寂しいような・・・というのが本音です。最後に。可愛い鳥を描いてほっこりしましょう
・いちばん注意するのは、クチバシと目(丁寧にゆっくり描く)
・頭とボディが一体化したような丸っこい形
・ボディの緑と胸あたりの黄をできるだけ鮮やかに
非常に細かい平安のお姫様の絵を描く、とかであれば別ですが、鳥などを描いていく中で、線がぶれてしまった、色がにじんでしまった、という些細なミスがあってもあまり落ち込まないでくださいね。
墨絵師のべべ・ロッカです。