水墨画・龍の絵を描きたいならコチラ!

水墨画・紫陽花の簡単な描き方【グラデーションを作る方法】を紹介

べべ・ロッカ

こんにちは。

墨絵師すみえしのベベ・ロッカです。

アジサイは、5月末頃から6月にかけて梅雨の時期に咲く花です。

が大好きなので、雨続きでも一番元気でイキイキしている花が、アジサイかもしれません。



ところで。

アジサイの「花」を知っていますか?

クロネコ

え?花って、花でしょ?もちろん知ってるよ・・?

それでは・・・・

中央の小さいのが、アジサイの花なんです

ってこと知っていましたか?!

クロネコ

ええーーー そうだったの?!

偉ギィ

てっきりその周りにあるやつかと・・・・・

べべ・ロッカ

みんなが花だと思っている部分は、実は「ガク」なんです。

美しくて可愛らしいアジサイの花は、

・季節感を表現できる

・水墨画らしい「にじみ」を効果的に使える

ことから、水墨画のテーマとしてもぴったりの花なんです。

今回はアジサイの描き方解説動画をベースに、詳しく紹介していきたいと思います。

(まず解説動画を見てから描いても、または描いた後からゆっくり見てもらっても大丈夫です。)

記事の最後には「アジサイの花の特徴」もまとめました。

では、参りましょう!

水墨画「攻略動画」でアジサイを描こう

水墨画「アジサイ攻略動画」10分38秒(音声あり♪)

↑動画の冒頭では、私ジンジャーエールを作っています。

本編は1分24秒からスタートします。

アジサイを描く順番と使う色

・・・白緑 びゃくりょく(淡い緑)、むらさき(仕上げに)

ガク・・群青ぐんじょう(青)、むらさき

・・・黄草きぐさ(緑)、

・・・黄草きぐさ(緑)、濃草こいくさ(濃い緑)

この順番で描いていきます。

なお、今回描くアジサイは「ガクアジサイ」という種類のものです。

また、花以外の、茎や葉の部分は、「墨」で描いても落ち着いた感じが楽しめます。

でも花の部分は、やはりアジサイの魅力のひとつである濃淡をより楽しむために、「色」を使うのがおすすめですよ!


墨か色か・・花についての考察はこちらの記事で↓

アジサイの描き方〜①花〜

真ん中のツブツブ(=花)が咲いた状態
筆をまっすぐ立てて描きます

①花の描き方

この記事の初めにお伝えしたように、アジサイの本物の花は中心のツブツブとした小さい部分です。

白緑びゃくりょくを使って、筆をまっすぐ立てて穂先で紙をつつくように、ツンツンと描いてゆきます。

動画でこの描き方を点描てんびょうと説明していますが、点描ほど繊細に描く必要はありません。

点苔てんたいに近いランダムな描法です。

アジサイの描き方〜②ガク〜

ガクの部分は円盤状で、全体に少し傾けるイメージ

②ガクの描き方

群青

まず、群青を取り、そのまま次に紫を取ります。(逆でもOKです)

ガク(基本4枚)を描いていきます
同じ形が並ばないよう、横から見た形は細く、など工夫します
向こう側のガクも描きます
イメージ通り、円盤状に傾いた形ができました!

アジサイの描き方〜③茎〜

③茎の描き方

次に、茎を黄草で描きます。

茎のように少し幅のあるラインを描く場合、その穂先を広げます。

黄草で描きます
はじめに、どこまで描くかをイメージ
あらかじめ、茎の幅くらいに筆の穂先を広げておきます
スーーッと引きます

ガクから出ているジクをつなげて、茎にまとめていきます。

メリハリができます!

ガクの中心に紫をチョンチョンと置いていきます。

最後は葉です。

アジサイの描き方〜④葉〜

④葉の描き方

アジサイの葉は、少し大きめでしっかりしています。

シソの葉のようなギザギザがありますね。

黄草(緑)と、アクセントに濃草(濃いめの緑)を使って濃淡を作ります。

同系の色で濃淡を作る絵の具の取り方

複数の同系色(例:薄い緑と濃い緑)を使って濃淡を作りたい場合は、

①はじめに薄い色を筆に取る。

②同じ筆でそのまま続いて濃い色を取る。

この順番を守らないと、濃淡は作れないので注意してください。

ギザギザ葉っぱを作るとアジサイっぽいですね
同じ形の葉が並ばないように変化をつけます
この葉は互生で描いています

アジサイの葉のつき方は、対生たいせいが一般的だと思いますが、種類によって互生ごせいもあるようですね。

植物の葉のつき方いろいろ

対生たいせい・・・茎を中心に2枚の葉が向かい合って付いた状態

互生ごせい・・・茎を中心に、1枚ずつ葉が交互に付いた状態

輪生りんせい・・・茎を中心に3枚以上の葉が密集して付いた状態

勢いのある線で描きます

葉の仕上げに葉脈ようみゃくを入れます。

葉脈は人間で言うと「血管」のような役割をするもの。

水や栄養などを運ぶ器官です。

バリバリとかたい葉や大きな葉、またメリハリをつけたい時なども、アクセントとして葉脈を入れる場合がありますが、必須というわけではありません。

葉脈を入れる時は、勢いよく元気な線で表現することが大切です。

アジサイの描き方〜仕上げ

葉を描き終えたら、最初に描いた中心の花の部分をチェック。

ボリュームが足りないな、と思ったらもう少し白緑びゃくりょく(淡い緑)を足していきます。

仕上げに、紫でツンツンとアクセント。

クロネコ

あ〜、でも白緑の後に描いたら、紫がにじむよね・・・

この時、先に描いた白緑が乾かないうちにツンツンすると、ボワっとにじみますが、この場合はOKです。

水を感じさせる「にじみ」はこの場合むしろ大歓迎。

雨のシーズンを代表する花らしく、アジサイの美しさをより際立たせますよ!

アジサイ完成!
偉ギィ

なんとも言えない青紫がとてもきれい!

べべ・ロッカ

アジサイならではの色ですね♪

水墨画でアジサイを描く「注意点」と「上手く見せるコツ」

アジサイのガクの向きを工夫してみる

花の部分は点々で省略して描きますが、ガクの部分は4枚仕立てで表現します。

四角丸のような形を4つ並べて1つのガクとします。

ガクは花を囲むように円盤状に付いているので、手前・横向き・向こう側とガクの形に変化をつけることがとても重要!

同じ形にならないように

簡単そうで、変化をつけるのは案外難しいものです。

コツとしては、手前のガクは4枚きれいに描いて、横向きは細く、向こう側は1〜3枚とガクの数を減らして、変化をつけることができるのでチャレンジしてみてください。

アジサイ全体のバランスを考える

全ての花を描く時に言えることですが、「花は生き物である」ということを忘れてはいけません。

命があって、生きているのです。

そのため、花を描く時には様々な工夫をして、イキイキ感が出ると良いですね。

水墨画では、きれいにまとめようとするよりも、少しフッと力の抜けた部分が出るのもよし。

また、植物の生命力を感じさせる野生味などを表現するために、思い切って描くことも時には大切です。

さて、アジサイの花を描くときの工夫は・・・?

アジサイをイキイキと見せる工夫

①花の部分を傾ける

今回描くのは、「ガクアジサイ」です。

真ん中にツブツブの花があり、その花を花びらのように見えるガクが囲っています。

その形は円盤状に、さらに少し傾けてみましょう。

円盤状にすることによって、ナナメから見た感じが出ます。

さらに傾けると、動きが出ます。

花に直線を使うと絵が硬くなり、精密に描きすぎると「作り物っぽさ」が出ますので注意です。

②茎にカーブをつけ曲線で描く

アジサイは木の仲間で、どんどん増えて大きく広がっていきます。

構図にもよりますが、茎の部分はまっすぐではなくカーブをつけると、アジサイの広がりを表現することができます。

色の濃淡をきれいに出すコツ

ガクの濃淡をきれいに出すのが、アジサイを描くときのコツです。

一見青に見えますが、うっすらと赤らしき色も見えます
赤紫っぽいですが、青っぽい色も見えます

アジサイの種類は豊富で、最近ますます個性的な色や形が増えてきました。

大きく分けて、青系とピンク系が一般的によく見かける色ですね。

その色もベタっとした一色ではなく、微妙で複雑な濃淡が美しく、それがアジサイの特徴のひとつと言えます。

下のような青と紫の2色を両方出すには、どうしたら良いでしょうか?

青と紫がきれいです

こんな風に2色とも一緒に出すには、青と紫をキッチリ混ぜきってしまわないこと。

青と紫をそれぞれ別のとき皿に取ります。

順番に絵の具を筆に含ませることで、水・青色・紫色が筆の中で混ざり合い、美しい色合いが生まれるのです!

2色のグラデーションの出し方

①青と紫を別々のとき皿に作る。

②筆でまず青をなめて取り、その筆で続けて同じように紫をなめて取る。

⇨筆の中で2色が混ざり合って、濃淡を作り出します。

この2色取りは様々な場合に使える便利な方法です。

筆の中の絵の具の状態によって、描くたびにグラデーションの出方が変わるので、アジサイのような色のバリエーションを作りたいテーマにぴったりです。

今回の場合は、青と紫、筆に取る順番を逆にしてもOK。
※葉を描く時のように、複数の同系色で濃淡を作る場合は、必ず薄い色を先に取ります

アジサイの花の特徴と魅力

アジサイの花の種類

アジサイの原産地は、日本

この繊細で愛らしい花が日本生まれなんですって、ちょっと嬉しいじゃないですか?

アジサイの花は大きく2種類に分かれます。

「ガクアジサイ」と「ホンアジサイ」です。

ガクアジサイ
ホンアジサイ

円盤型の「ガクアジサイ」が原種で、まーるい「ホンアジサイ」の方は、日本の「ガクアジサイ」がヨーロッパへ行って品種改良されたものだそうです。

私は「ガクアジサイ」の方が好みなので、こちらが原種と知って嬉しいです。

日本各地には通称「アジサイ寺」があちこちにありますし、品種改良で次々と新しいタイプを見かけますし、昔も今もアジサイは人気の花ですね。

カシワバアジサイ
最近はグリーンのタイプも人気でよく見かけます

アジサイの花びらは、前述のように、真ん中のツブツブした小さい部分。

その周りに、「こっちの方が花だと思ってた」と多くの人が勘違いしているガクの部分があります。

ガクの方は「装飾花」と呼ばれ、おしべとめしべの部分が退化してしまって、その名の通りお飾りとなってしまった花なんですって。

そして、「ガクアジサイ」は、本当の花が真ん中のところに見えていますが、「ホンアジサイ」の方は、装飾花であるガクが目立つばかりで、実際の花はその中に隠れています。

この中に本当の花が隠れているのです

またアジサイは、花びらのように見える装飾花のガクが4枚あることから、別名「よひら」という名前も持っています。

ガクが複数枚ある派手なものもありますが、やはりシンプルな4枚がいいなあと思います。

アジサイの花の色の秘密

アジサイには、「七変化」という別名もあるそうです。

アジサイの花の色は、「土と水」によって決まると言われています。

アジサイには、「アントシアニン」という色素が含まれていて、この「アントシアニン」が、青、紫、赤など色が変化する決め手となっています。

「アントシアニン」といえば、抗酸化作用のあるポリフェノールの仲間で、ブルーベリーや紫キャベツ、赤シソ、葡萄など、赤系の食べ物に多く含まれることで有名ですよね。

アジサイの「アントシアニン」は、土の中に溶け出したアルミニウムに反応すると、青くなります。

アルミニウムが土に溶け出す量は、水の酸性度で決まりますが、酸性はよく溶け、中性〜アルカリ性はあまり溶けません。

なので、土に浸透した水が
・酸性だと青色
・中性だと紫色
・アルカリ性だと赤色

日本では酸性の土が多いため、青色や紫色のアジサイが多く見られるのです。

※ちなみに白いアジサイがありますが、アントシアニンを持っていないため色が変化しないのだとか。

アジサイの色は土で決まる、と聞いたことがありましたが、こういうメカニズムだったんですね。

水墨画で描くアジサイ〜最後にまとめ

アジサイの描き方ーまとめー

【花】
・まず中心の花の部分からスタート

・ガクの部分は傾けたりガクの形を変えたり変化をつけてみる

【茎】

・筆の穂先を茎の幅に広げて、直筆でスーッとカーブをつけて描く

【葉】

・互生でも対生でもOK、葉は大きくのびのびと

【使う色について】

・茎や葉は「緑」でも「墨」でもどちらでもOK

・花とガクは色(青系がおすすめ)を使う方が良い(墨だけだと寂しい印象になる)

今回は、雨の時期に美しい色で私たちを楽しませてくれる、アジサイを紹介しました。

水墨画ならではの「にじみ」を効果的に取り入れて、濃淡を作ってみてくださいね。

それでは、また。

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です