水墨画、楽しんでおられますか?
水墨画に興味があるけれど、習う前にちょこっと予習してみたい、どんなものか知っておきたい、という方は多いかもしれません。
そんな時に書籍は便利ですよね。
・基本を教えてくれる入門書みたいなのがあればなあ〜。
・色々あって、どれを選べば良いか迷うなあ〜。
その気持ち、よくわかります。
そんな方に今回は、
・水墨画に関する本を選ぶときのコツ
・絵の資料にしたい時のおすすめ本
・私自身、役に立ったと思う良書
などなど、紹介したいと思います。
水墨画の描き方の本だけではなく、参考になる図鑑や、ちょこっと番外編なども用意していますので楽しんで、ぜひ参考にしてみてくださいね!
目次
水墨画の本で学ぼう
私自身、水墨画を直接師匠から学んできましたが、本もとても役に立ちました。
自分のペースでじっくり学べるし、参考書のような使い方ができますね。
本で学ぶ時のメリット
『著者や出版社などを明示し、有料である「書籍」は、ネットと比べて圧倒的に信頼度が高い』
=安心。
インターネットは最も手軽で、無料で情報を得ることができて便利なのですが、発信者がどこの誰だかわからず、情報源もあやふやなことがあります。
一方、お金を払って購入する本はどうでしょう。
面白いとかつまらないとか、内容に関する個人の好みは確かにあります。
ですが、いい加減で適当なことを書いていると著者や出版社の責任になりますので、そんなことはまずないと思われます。
また、あるテーマについて調べたい、と思ってインターネットを見ていると、違うサイト同士で同じ表現がされている場合があって、(これはいわゆるコピペ的なものかな・・・)と思うこともあります。
(コピペ・・・コピー&ペースト。よそのサイトから勝手にそのまま文章をコピーして自分のサイトに貼り付ける行為。)
一生懸命作ったものが簡単にコピーされるのは悲しいよね
最近ではひどいコピペも減ったと思いますが・・・安易に信用したりその情報をそのまま採用するのは注意が必要です。
私自身も情報を発信している身なので、常に自分に言い聞かせていて、事実確認などは時間をかけています。
本で学ぶ時のデメリット
書籍の場合、手本画像があるのは良いですが、実際にどうやったらこうなるの?については文章だけの説明では難しい部分があります。
例えば、運筆で、「側筆」という描き方がありますが、その説明を見ると・・・
筆を紙面に対して預けて持って描くと、筆の穂先が常に描線の片側にあって、他の側は筆の腹部によって描かれることになる。この描法を側筆で描く、という
「墨絵の技法」ー山田玉雲 著
・・・・・・・・・・・え??
実際に筆を持って、よーく考えながらやってみると理解できるかもしれません。
でも、初めての方にはなんのこっちゃ、とっさに意味がわからないと思うんですよね。
写真も添えてあれば良いのですが、基本は文字情報だけなので、わかりにくいのは仕方がない!
そんな時は動画などを見て、筆の動きを参考にするのが良いですね。
水墨画の本の選び方
水墨画の歴史を知りたい、など文章を読むだけの本なら、小さい方がコンパクトでよいかもしれません。
でも運筆の写真や手本の絵をしっかり見たい場合は、大きめの本が見やすいので絶対おすすめです。
大きい本だと、ガバッと開いた状態にもしやすいですし、できれば写真も大きめでわかりやすいものが良いですね!
また、「風景画しか描かない」などピンポイントで描くものを決めている方は別ですが、最初は花など身近なものからスタートする方が始めやすいと思います。
テーマ選びに悩んだらこちら↓
それと、写真が入ったり大きい書籍になると、値段が高めになってしまうのがネックですが、中古本を利用するのもアリですね。
では、次に本を紹介していきたいと思います。
私が持っていて使っている本ばかりです。
おすすめポイントも述べていきますね。
水墨画おすすめの本 入門編
紹介する本は、すべて私が所有しているものです。
発行日が古く廃版のものなどもありますが、ネットで確認して購入できるものをチョイスしました。
「水墨画基礎入門」
こちらは、私が今でも読み返し、確認するバイブルのような本です。
初心に帰りたい時や、基本をチェックしなきゃ、という時に手に取ります。
使い込まれてボロボロです。
著者の山田玉雲氏は、水墨画の大家です。
絵の技術はもちろん、構図やテーマの選び方など絶対の安心感がありますので、水墨画に関する本なら、玉雲氏を選んでおけば間違いはありません。
ちょっぴり紹介しますと、玉雲氏の強みは「何でも描ける画家」であったということ。
油絵・日本画という画歴を経て水墨画の道に進んだ玉雲氏は、3大テーマと言われる「風景画」「花鳥画」「人物画」全てを描ける技術を持った画家のひとりです。
いろんなジャンルの絵画を学ぶ方は多いと思います、最終的に水墨画を選びその道でトップになった、というすごい方なんですね。
ただ、すでに故人となられていて、本屋さんに並ぶ数は少ないかもしれません。
ネットで調べたら出てきましたが、廃版の本でも中古本で手に入るようです。
・著者が、技術の高い水墨画の大家なので安心。
・専門用語も、優しく解説されていてわかりやすい。
・水墨画の基本が詰まっているので、初心者がバランスよく学ぶのにちょうど良い。
「はがき絵傑作選」
こちらも、山田玉雲氏によるはがき絵の手本集です。
最初は、小さい絵からチャレンジしてみるのがよいかもしれません。
基礎が丁寧に紹介されていますので、初心者で、何を描けばよいかわからない・・・という場合、お手本にピッタリです。
季節ごとやジャンルごとにテーマが分類されていて、とても便利です。
また、「住まいの空間を豊かに飾る小品画」という文句が素敵ですよね。
ハガキサイズの絵は、手紙として送ることもできますが、そのまま小さい作品として飾ることもできるのです。
良い感じの額などに入れるとグッと空間が変わりますよ!
・ひとつの花で、面描き、線描きなどいろんなパターン例がある。
・墨だけ、色も使う、などバリエーション豊富でわかりやすい。
・画題に変な個性などがなく、品があり、定番なので安心。
水墨画おすすめの本 応用編
水墨画の描き方もいろいろ。
「これ」とはっきり描きたいものが決まっていないなら、いろいろ試して、描いてみるのが良いかなと思います。
考えて悩むより、まず描いていくうちに、「これが好きだな」「これは苦手かな」と自分の好みがだんだんわかってきますよ!
「秀峰富士山」
これも山田玉雲氏の本です。
水墨画を始めたら、一度は描いてみたいのが富士山ですね。
同じように見えても、季節・位置・天候などによって、コロコロと表情を変える魅力的な山。
タイトルにある「秀峰」とは「高く、美しくそびえる山」という意味です。
また、富士山には定番の描き方・コツがあるのをご存知ですか?
これを押さえておけば、難しそうに見える富士山にもチャレンジできますよ!
富士山のザ・定番の描き方が全部詰まった本です。
・富士山の特徴を生かした、定番・基本的な描き方がわかる。
・月、松原、湖との組み合わせ、季節、位置などバリエーション豊富。
・扇面、色紙、ハガキなど描くものに合わせた構図を学べる。
富士山の、こんな描き方もあります↓
「鳥の描き方マスターブック」
著者は外国人の方で、鳥の本格的なデッサンが学べます。
ただ、水墨画では、基本的に細密な描き方はしません。
また、本には、色鉛筆や水彩絵具で描く、と記述があるので描法として水墨画向きではありません。
じゃあどうしておすすめなの?
鳥について「深く知る」ことができるからです。
鳥の体の仕組みについて、「へえー!」と驚くくらい細かく描写されているので、参考書としてもすごい情報量なのです。
理解が深まれば、絵を描くときに絶対に役に立つので、漫画家さん、イラストレーターさん、絵を描く全ての人におすすめできるかもしれません。
そこまで本格的じゃなくても・・・という場合でも、すぐ描けなくても「本」として読み応えがあります。
・鳥がうまく描けない→基本から学べる。
・鳥の体の構造について、骨格から翼の仕組みまでとにかく細かい。
・鳥の種類ごとの描き分けが丁寧。
私の鳥解説もあります。
こちらは超初心者向けの内容です。↓
水墨画おすすめの本 参考編
「花の名前」(図鑑)
絵を描く際には、資料がとても大切になります。
もちろん、ネットで調べることもできますが、情報源(ソース)が不確かかも?とちょっと心配になったりします。
花の本は、花に関する情報をいろいろ知ることができるので、サッと調べたい時のために1冊は持っていたいですよね。
・小さめの図鑑なので、コンパクトで見やすい。
・巻末の「50音索引」と「花の入手時期索引」がとても便利。
・花の色分け別で掲載されているので、「黄色い花何があったかな」とかいう具合に検索することもできて、便利。
「子いぬたち」(写真集)
少し慣れてくると動物などもチャレンジしてみたいですよね。
写真家の岩合光昭さんによる子犬の写真集です。
岩合さんといえば猫のイメージがありますが、この本では、さまざまな犬種の子犬たちが楽しめますよ。
岩合さんの写真は、動物に対する愛情が感じられるし、時々フッと笑えるようなユニークな瞬間もあったりして、とても良いですよね。
成犬と子犬では体のつくりやしぐさ、表情なども全く違うので、発見もあるし、なんといっても子いぬたちが可愛い!!!
私は、動物の子どもをよく描くので、参考になります。
(毎回、「可愛い〜」で楽しむ方が大きいですね)
・(ネットでも無料画像はありますが)やはりプロの写真は違う。
・子犬の可愛いしぐさなどが見られる。
・犬種の特徴を生かした写真が豊富。
小学館の図鑑NEOシリーズ(図鑑)
小学館の図鑑「NEO」シリーズです。
図鑑、大好きなんですよね。
(愛読書:地図、図鑑)
しかもこのNEOシリーズは全部揃えたくなるくらい、おすすめ!
オールカラーの写真がきれいで、イラストも解説もじっくり丁寧です。
子ども向けとはいえ、このクオリティで2,200円(税込)は破格ではないかと思ってしまいます。
この「水の生物」は・・・確かイカかタコを描く時に手に入れたもので、この時にNEOシリーズを知りました。
いろんなジャンルがありますが、絵の資料にするなら「昆虫」「花」「鳥」あたりもゲットしておきたいジャンルです。
図鑑を子供だけのものにするのはもったいないですからね。
知識も増えて、絵の参考にもなるし、面白くて夢中で見てしまいます。
こんなのも発見しました。↓
アートの本も、子供用の図鑑なら気軽に楽しめそうですね。
水墨画おすすめの本 番外編
水墨画に「流行り」や「ポップさ」は感じられないかもしれませんが、長い歴史を持つ伝統文化のひとつです。
次の2冊は、絵を描くことと直接関係はないかもしれません。
でも、個人的に好きだし興味深い分野の本なので、「番外編」として紹介します。
「茶席の禅語」
室町時代、水墨画は禅宗(仏教のひとつ)とともに広がったという歴史があって、両者は密接な関係がありました。
禅なんて、難しそう・・・お茶は習ってないから関係ないや・・・と思われるかもしれませんが、難しさはゼロ!
読み始めると面白くて止まらなくなります。
漢字の1字から7字まで、いろんな言葉の説明をされているのですが、「あ、これ知ってる」という言葉も出てきます。
著者は禅僧で、茶席でのエピソードを交えながらの解説はとても読みやすく、ちょっぴり「禅」に触れた気分も味わえるかも。
書とコラボで水墨画を描く方なら、作品の言葉選びのヒントにもなりますよ。
たまに読みたくなるんですよね。
「色々な色」
おすすめ本の最後に紹介するのは、「色」に関する本です。
この本は、単なる色の解説本ではありません。
これ自体がひとつの「アート作品」のような美しい本です。
墨だけなので色は使いません〜という方には関係ない本かも・・・・しれませんが・・・この本を作った出版社は現在、存在しません。
「光琳社出版」というところで、社長の「アートを広めたい」という強い思いが形になっていくつも美しい本が生まれました。
しかし、残念ながら1999年に倒産してしまったのです。
写真集と図鑑と詩集が合体したようなパーフェクトで丁寧な完成度で、本に関わった方々の心とセンスが伝わってくるようです。
今は中古本として手に入れることができるようです。
・様々な色の名前・由来などじっくり丁寧な解説で、奥深い色の世界を知ることができる。
・写真や文章、デザインがきれいなのでストレスなく楽しめる。
・本好きの心をくすぐる美しいビジュアル。
私自身、自分のことを友達に「絶滅危惧種」と自己紹介することがありますが(なぜか笑われるんですよ、真剣なのに)、良いものや歴史があるもの、絶滅させたくないものも、需要がなければ消えてしまうという過酷な世界です。
でも!
800年の歴史がある日本の水墨画、カンタンに絶滅させるわけにはいきませんよね。
世界中の仲間に届け!と思いつつブログ発信しています。
まとめ
今回は、実際に私が持って使っているおすすめの「本」を紹介しました。
全部把握するのは大変〜〜というのではなく、ご自身でピンときたらゲットされるのもよし、参考程度にしておくか、でもよし。
狭くとらえるのではなく、大きく世界を見ていれば色々なところにヒントはあるので、思わぬ本が「役に立った!」「刺激を受けた!」という場合もあると思うのですね。
私の場合は、子供の頃の漫画でした。
インターネットを使えば、いろんな情報をほとんど無料で得られる、という本当に便利な時代になりました。
(中古本も簡単に見つかります)
手軽で良いと思います。
でも時には・・・本をじっくり読んでみるのもおすすめです。
お気に入りの本に出会えれば、人生も豊かなものになりますよね。
参考になれば、嬉しいです。
それでは、また。
こんにちは。
墨絵師のベベ・ロッカです。