水墨画では花鳥画は人気です。
花や植物、またあらゆる生き物の絵のことですね。
花鳥画の中では、鳥が人間に親しみやすくて良いです。
また、たくさんいる鳥の中でもちょっと神秘的で、あまり見かけない鳥、フクロウの描き方を紹介したいと思います。
フクロウは昔から「吉祥の鳥」とも言われ、特別な存在として扱われてきました。
吉祥とは、「おめでたいこと」「幸せをもたらすこと」など縁起の良いことを意味します。
・動物の絵を描いてみたい
・なるべくカンタンに描きたい
そんな方におすすめです。
動画もありますので、さっそく始めてみましょう。
目次
【水墨画の動物】初めての人にオススメ!線描きの表現
水墨画の表現方法は大きく分けて2つあります。
・鉤勒法(線描き)
・没骨法(面描き)
です。
同じものを描いても、印象が変わります。
それぞれに良さや特徴があり、自分の表現したい絵のイメージに合わせて、使い分けたり、または組み合わせて描いたりしますよ!
水墨画で初めて動物を描く時は、「線描き」が、よりカンタンに始められるのでオススメです。
水墨画「線描き」のメリット
水墨画だからと、ドキドキ緊張しながら一発勝負で描かねばならない!ということはありません。
細かい線描きの場合には、下図も使いますし、あたりといって、鉛筆などでカンタンな形をあらかじめ少し描くこともあります。
その上から墨で線描きをすれば、鉛筆の線も見えなくなるので大丈夫。
緊張する必要がなくなりますよ!
線描きの場合、「線」で表現するため、下図やあたりがしやすいのが特徴です。
慣れない頃は「失敗したらどうしよう」と不安になりますよね。
そんな時に下図があれば安心して、墨入れをすることができるのです。
「線描き」うまく描くコツ
筆の扱いは徐々に慣れてゆくものなので、最初はコントロールが難しいと感じます。
ですが、そんな初期段階の頃の不安定な線も、また味わいのあるもの。
なるべくリラックスして、おおらかに描いてください。
線がにじんでも太くなっても、気にしないで!
最初にうまくいかないと感じるのは、「絵心がないせい」「技術が未熟なせい」と思いつめてしまいがちですが、そうではありません。
初めにうまくいかないのは、
「道具に慣れていないだけ」
だけなんです。
普段使っていない筆や紙を使うので、当然のことですよね。
まずは、
「道具や雰囲気に慣れること」。
これが大事!
少しずつ、慣れてゆきましょう。
「線描き」に筆ペンを使っても大丈夫?
最初の頃は、描きやすい筆ペン・にじまない画用紙などを使って、手軽に練習し始めてみてもかまいません。
筆ペンは、インクなので真っ黒で濃淡はつきませんが、線の練習はできますよ!
筆の持ち味、描き味などを楽しみながら、すすめてゆくと良いと思います。
フクロウの描き方「動画を見る」
こちらはYouTubeチャンネルの動画「フクロウ」です。
この動画をもとに解説していますので、よかったら見てみてくださいね。
(2分36秒 音楽が鳴ります♪)
【水墨画の動物・描き方】フクロウ〜顔とアウトライン〜
今回のフクロウはとてもシンプルですので、安心してくださいね。
フクロウの特徴といえば、全体のシルエット。
これは線描きでカンタンに表現することができます。
とても個性的なフクロウのビジュアルですが、その驚くべき体のヒミツについてものちに紹介しますのでどうぞお楽しみに!
フクロウ「飾り羽」
まずは、特徴的な頭の「飾り羽」から。
このぴょん、と飛び出た部分は耳と思われがちですが、羽なのです。
フクロウは種類によって、この飾り羽があるものとないものに分かれます。
フクロウ「目」
顔の部分が、ぺたんとなっているのが特徴ですね。
その境目の部分を描いてから、丸い目を描きます。
くちばしも描いておきましょう。
フクロウ「アウトライン」
次に、体の部分のアウトラインを描きます。
これで全体の線描きはOKです。
【水墨画の動物・描き方】フクロウ〜体〜
次に全体の羽の部分を、もう少し描いて表現していきましょう。
フクロウの羽はフカフカなので、線描きのあと、最後は淡墨で羽の雰囲気を出して仕上げていきましょう。
フクロウ「羽」
筆の穂先で軽く、羽の模様を表現していきます。
顔の部分も付け足して・・
全体に軽く淡墨をのせます。
頭の部分も。
フクロウ「足と枝」
足を描きます。
必ず、足→枝の順番で描きましょう。
足の指を描いておいて、そこに枝を合わせるようにします。
そうすると、枝にとまった様子をラクに描くことができますよ!
最後にしっぽ。
フクロウ「重ね塗り」
もう少し、羽の濃淡をつけてみます。
頭にも。
フクロウ、完成です!
【水墨画の動物・描き方】フクロウの体の秘密
かなり個性的な鳥、フクロウ。
鳥なのだけど、頭から足まで全身フカフカの羽に包まれたボディのせいか、何か別の生き物のような雰囲気も?!
実はフクロウは他の鳥と違って、様々なヒミツがあるのです。
フクロウのヒミツ「顔」
フクロウの顔って、パラボナアンテナのように、ぺたんと丸くなっていますよね。
この顔の部分は「顔盤」といって、顔全体で音を集める作用があるのです。
集めた音を耳で聞いて、獲物の場所を知ることができるのですね。
そして、首!
フクロウといえば、ぐるんと回る首でおなじみ。
他の鳥よりも目の視野が狭いため、横や後ろが見えません。
なので、首を270度回すことができるのだそうです!
エクソシスト!!
前後左右にぐるぐる回りますが、首にある頸動脈が柔らかくて伸び縮みするから、血流が悪くなって立ちくらみすることなどはないのですね。
すごい。
フクロウのヒミツ「目」
鳥類の多くは昼行性ですが、フクロウは夜行性ですので、夜に狩りができます。
目がついている位置は、横についている他の鳥に比べ、真正面です。
そのせいで、他の鳥より視野は狭くなる代わりに、「両目」で見る範囲がとても広いので、獲物がよく見えるのですね。
フクロウの目の色は3種類あって、活動するのに適した時間帯がそれぞれ違うそうです。
・オレンジ:朝方と夕方がベスト。
・黄:昼間がベスト。
・黒:夜間がベスト。
全ては狩りのために!
フクロウのヒミツ「耳」
頭の上の耳に見える部分は、耳と間違えがちですが、飾り羽です。
威嚇したり、緊張したり、怒ったり・・という時にピンと立つのですね。
フクロウの耳は羽に隠れていて見えません。
横顔もユニークですね!
目の横あたりらしいのですが・・
そして、耳は左右で位置が違っていて、右耳が少し上、左耳が下の方にあリます。
位置が違うことによって、音を立体的に聞けるため、狩りで獲物が見えにくい時なども、獲物の位置を音で正確にとらえることができるのです。
すごい!
フクロウのヒミツ「羽」
フクロウは、翼を広げた時、一番外側にくる「初列風切羽根」というな羽を持っています。
なんというカッコいい名前でしょう。
翼の羽毛自体がとてもやわらかいことと、この「初列風切羽根」が、羽ばたきの音を消す役目を持っているため、獲物に気づかれず静かに近づくことができるのです。
名前の意味がよくわかりました。
30cm近くまで飛んできても、羽の音が聞こえないそうですよ!
フクロウのヒミツ「足」
ほとんどの鳥の足の指は4本。
前に3本、後ろに1本あります。
ところがフクロウの足の指は、前と後ろに2本ずつ。
この指とするどい爪で獲物をガシッと捕まえて離さないのです。
そして足はフカフカの羽毛で指の先まで覆われています。
種類によっては寒い地域に住むフクロウもいるので、防寒の役目もあるようです。
フクロウってすごい優れた能力の持ち主なんだね!
【水墨画の動物・描き方】フクロウについて
フクロウといっても、いろんな種類がいますよね。
猛禽類なので、けっこう獰猛で強い性格だと思うのですが、姿だけでなく知れば知るほど愛らしくてユニークな鳥ですよね。
世界には268種類、日本には11種類のフクロウがいるそうです。
フクロウは幸運の鳥?
フクロウは、
苦労知らず=「不苦労」
福をもたらす=「福来朗」
などの当て字で、幸運を呼ぶ鳥、幸せの象徴とされています。
首がぐるぐる回り、耳も目も良いことから、「チャンスやご縁を逃さない」として、
お金に困らない=「商売繁盛」ということでも人気です。
また外国でも、フクロウは吉祥の鳥とされています。
ギリシャ神話で、知識の女神アテナの連れているのがフクロウであることから、フクロウは「知恵」や「知識」の象徴とされてきたのですね。
フクロウとミミズクの違いは?
日本では、「フクロウ」と「ミミズク」という2種類の呼び方があります。
聞いたことがありますよね?
ではこの2つは何が違うのでしょう?
それはひとつ。
・フクロウ=頭に飾り羽がない
・ミミズク=頭に飾り羽がある
ということなのです!
飾り羽の違いか〜
私もカンタンに見分けられました!
(例外もあるそうです)
「ハリーポッター」に登場するフクロウ
映画「ハリーポッター」でお馴染み、フクロウ。
ペットとしてみんな、1羽ずつフクロウを飼っていますよね。
主要キャラクターたちのペットのフクロウの種類を紹介します。
ハリー・ポッター「シロフクロウ」
ハリー・ポッターのペット、「ヘドウィグ」はシロフクロウ。
オスは真っ白で、ヘドウィグは黒い斑点があるので、メスのようです。
ロン・ウィーズリー1羽め「メガネフクロウ」
ウィーズリー家のペット、エロールは「メガネフクロウ」。
長い間一緒に過ごしてきたフクロウで、高齢のようですね。
ロン・ウィーズリー2羽め「アフリカオオコノハズク」
ロン・ウィーズリーのペット、「ビッグウィジョン」はアフリカオオコノハズク。
ちょっと小さめで可愛らしいですね。
ドラコ・マルフォイ「ワシミミズク」
ドラコ・マルフォイのペットは、ワシミミズク。
堂々とした飾り羽と全身の羽が印象的です。
まとめ
今回は、線描きでカンタンに描くフクロウを紹介しました。
飾り羽や色を加えれば、お好きなフクロウの種類を描き分けられますね。
フクロウは可愛いし人気なので、飾るとおしゃれですし、なんといっても幸運を呼ぶ鳥ですから、ハガキに描いて送ると喜ばれます。
存在感がある鳥なので小さいサイズでも、バッチリ映えますよ!
吉祥絵フクロウを描いて、ハッピーがやって来ますように。
それでは、また。
こんにちは。
墨絵師のベベ・ロッカです。