こんにちは。
墨絵師のべべ・ロッカです。
絵を描く時に、姿勢を気にしたことはありますか?
えっ 何か決まりとかがあるのですか?
そんなのないよねえ 自由に描いたらいいじゃない?
特に決まりはないのですが、こうやった方がいいよ、というおすすめのスタイルや、考え方はあります。
スポーツには基本のルールがあり、あらゆる作法には正しい所作がありますよね。
効率よく絵を描くための考え方なので、やって損することはありません。
・水墨画の知識がない
・準備について知りたい
・水墨画を始めたばかり
そんな初心者の方に向けての内容です。
今回は準備段階での予備知識と、まめ知識を紹介していきますので、参考にしてみてください!
目次
【水墨画の描き方】その前に〜正しい姿勢を学ぶ
水墨画の本などを見ると、このような姿勢で描きます、と描くときのスタイルを写真で載せている場合があります。
それぞれのスタイルについてチェックしていきます。
水墨画の基本姿勢として、
①正座で描く
②立って描く
③座って描く
3つのスタイルについてそれぞれ見ていきましょう。
①正座で描く・・・✖️
水墨画といえば、畳の上に和紙を広げ、正座して描く・・・書道に似たイメージを持つ人も多いかもしれません。
(書籍でも正座して描く写真が載っていたりしますね)
でもこの方法はオススメしません。
なぜなら、手、足、腰、とにかく全身に負担がかかりすぎるからです。
とても大きなサイズの絵で、床に置いて描くしかない場合を除いて、避けてほしいスタイルです。
体がしんどくなるだけではありません。
水墨画はお水を変えたり、体の位置を変えたり、けっこう動きがあります。
となると、床に座る姿勢では・・・フットワークも悪くなりますよね。
若い方でも、腰を痛めやすくなる姿勢なので、くれぐれも気をつけてほしいと思います。
正座して描いていたのは、机と椅子で座るスタイルがまだなかった時代の、昔の人だと思って下さい。
現代人はそのスタイルまで真似する必要はありません。
②立って描く・・・△
絵画といえば、油絵などイーゼルにキャンバスをセットして描いているスタイルがおなじみですね。
パレットを片手に、イーゼルに向かって描く様子は、カッコイイですよね!
一方、水墨画では、最初からセットされた障子や襖などに描く、という特殊な場合を除き、通常、立って描くことはありません。
なぜだと思いますか?
理由としては、水墨画は「水」をよく使うからです。
墨にしても、固形の墨を水で溶いて液体にしているわけですから、水分が含まれています。
紙を立てた状態で、水分を含んだ筆で描けば・・・流れてしまいますよね。
もし、水をほとんど使わず、カサカサと乾いた筆法で描く場合は別ですが・・
要は、タラ〜ッと墨や水が流れてこないような絵なら、OKです。
③机上で描く・・・○
水墨画を描くには、机を使い椅子に座って描くのがベスト。
道具も並べやすいです。
大きい絵も机の上に紙を広げて描けます。
場合によっては、低い机で床に座って描くこともあるでしょう。
そんな時は、集中していたら固まっちゃうので、面倒でも水を替えにいったり足を伸ばしたりして、体を少し動かしながら描いてくださいね。
また、あまり高い机だと手が動かしにくいので気をつけてくださいね。
当たり前のように思えますが、机に道具を並べ、椅子に座って描くのがベストです。
絵を描くことは気付かぬうちにかなり体力を消耗します。
頭(考える)、目、肩や腰、腕や手、指・・・全身使っているようなものです。
夢中になると時間が経つのも忘れてしまいがちですよね。
例えば、私の教室では、1回のレッスン時間は、準備や片付けも含めて2時間です。
実質座って描いている時間は、90分もないかもしれませんが、一生懸命集中するので、かなり疲れると思います。
ひとりひとり描く様子を観察していると、つい体をゆがめてしまったり、椅子に浅く座っていたり、よくない姿勢の人も見かけます。
おうちで描く場合は、時々筆を休め、休憩も入れつつリラックスして描いてください。
またどうしても床に広げて描く必要がある場合は、作業は短時間に終わらせて、体に負担のないように気をつけて下さいね。
【水墨画の描き方】道具の配置を知る
水墨画は机の上に道具を並べ、描くのが一般的です。
その時に、道具の配置について考えたことはありますか?
道具の配置は、けっこう重要なポイントなので覚えておいてほしいと思います。
茶道を学んだことのある人ならばよくご存知でしょう。
道具の持ち方など、色々細かく順番と動きが決まっていますよね。
(私もほんの少しかじったことがあります)
無理やりまる覚えしようとすると、忘れてしまって失敗、ということの繰り返しになってしまうもの。
ですが、あの動きひとつひとつには意味があり、全体を通して美しいひとつの流れになっているんですよ!
ただ、堅苦しい決まりというだけではなく、効率よく動くためであり、また皆が見ている手前ですから魅せるための美しい無駄のない動きが確立されているのです。
道具は自分の利き手側に寄せよう
まず、真ん中に紙を置いたら、使う道具は利き手側に寄せます。
右利きだったら、右側に。
左利きだったら、左側に。
そうすることで、手の無駄な動きを最小限に抑えることができるからです。
絶対この通りにしないとダメ!
というわけではないので、安心してください。
あくまでもこんな感じ、というイメージですね。
それぞれの配置には一応、茶道のように理由があります。
・和紙・・もちろん真ん中ですね。
・とき皿・・・筆とコンビなので近い位置が良いです
・水入れ・・・筆と近い位置で、和紙から遠い方が安全です
・筆・・・水入れと皿を行き来するので、ここしかありません
・顔彩・・・使う場合はこのあたり ポトっと汚さないような位置で
・硯・・・この位置がポイント
*タオルの上に置いて墨をすり、硯をタオルの上に置いたままの人が非常に多いですが、タオルは墨を置くためのものではありません。
墨がすれたら硯は邪魔になりますので遠い位置に移動して、横に墨用の皿を置くと良いです。
墨がなくなればまた手元に寄せてすればOK。
例えば、利き手側の反対にあれこれ道具を並べていたら、ぐいーんとわざわざ手をそちらに伸ばすことになります。
無駄な動きをしていることになるし、また紙の上であれこれ道具を移動させるのはあまりよくありません。
筆についた墨がポトっと落ちる可能性もあります。
「紙の上をまたがない」
よほどのことがない限り、これは基本です。
水はこまめに入れ替えよう
教室でレッスン中、私は何をしているでしょう?
絵の先生って何をしているイメージですか?
机を周り、生徒さんの絵を見ながらアドバイス。
完成した人から添削。
などなど。
添削が始まると、次々続くので忙しいですが、みんなが描いている最中はわりとヒマだったりします。
なので、みんなの水をしょっちゅう交換しているのです。
筆を洗うとすぐに水は汚れます。
特に墨を多く使う日は、すぐ真っ黒に。
でも、部屋が狭くて動きにくいとか、足がちょっとつらいな、とか、なかなか水を替えられない場合もありますよね。
水墨画において、水はとても大切です。
筆の汚れをリセットするのは基本です。
汚い水だと汚れがちゃんと取れません。
そうすると、次の色と混じったり、濃淡が思うように出なくなります。
筆の技法やら描き方だけではなく、お水ひとつで絵が違ってくる場合もあるのです。
せっかく上手く描けているのにもったいないですよね!
でも水をきれいにすれば解決!
大きめの水入れを持ってきている人もいますね。
小さいものよりジャンジャン筆を洗えて便利です。
タオルは多い方がいい
毎度、タオルにはいつもうるさい私ですがご了承くださいね。
水と同じく、タオルのせいで上手く濃淡が出ない、にじむ、という人が本当に多いのです。
タオルのせい、というのはタオルが水を吸わない場合、という意味です。
これも、汚れた水と同じでせっかく上手く描けていても、道具の扱いのせいで失敗してしまうパターン・・・
レッスン中怒ったりすることはないですが、タオルが水を吸わない場合だけ、ついついちょっぴり大きめの声になっちゃいますね・・・。
「あ、このタオル水吸わないです」キリッ
水を味方につけるためには、水を上手くコントロールすることがとても大切です。
それと、すごくよく筆を洗う人もいて、それは良いことなのですが、その分タオルもすぐビシャビシャになってしまいます。
だから、タオルをもう1枚くらい予備で準備しておくと、良いですね。
慣れてきた人は、必ず余分にタオルを用意していて、添削の時に新しいタオルに変えてくれたりします。
そんな時の私は・・・?
上機嫌ですよね。
↑こういうタオルが良いですよ。
【水墨画の描き方】道具のお手入れも絵の一部
道具のお手入れ・管理は大切です。
最近では、多くの人が手軽に始めやすいよう、100円ショップの道具やなるべく安い画材を見つけて紹介しようと思っています。
でも、安いものだと気持ちが入りにくいのでガサツに扱ってしまうかな、やはり良いものを買った方が初期投資したし、と思って大切にするのかな、と考えたりも。
悩ましいところですね。
筆はネグセに注意
筆を使ったあとは、筆巻きなどにすぐしまわないで、必ずよく乾かせてください。
レッスンの時たまに、筆巻きをくるくるっと開けるとネグセのついた筆が登場、というようなことがあるのです。
これは、前回のレッスンで片付けてからずーっとそのままだったな・・・と想像。
毛が痛みますのでご注意!
↑こんなスタンドがあれば便利ですね。
スタンドでなくても、上の写真のように容器に立てて置いておくだけでもOKですよ!
人間の髪の毛も、濡れたままで寝るとネグセがつくだけではなく、毛を痛めますよね。
筆も同じなのです。
硯は必ず水洗いしてください
初心者の方に、硯は洗ってもいいのですか?とたまに聞かれることがあります。
イエスです!
使った後の硯はすぐに水で洗いましょう。
手で水洗いで大丈夫です。
墨が固まってしまった時は、お湯に入れてしばらく置いてから洗えば良いですよ。
柔らかい布で優しく拭いてあげてもOKです。
きちんと墨を洗い流さないで、膠成分が固まってしまうと、なかなか取れません。
温泉の湯の花のように硯のフチにたまっていってしまいます。
カチカチのかたまりがどんどん勢力を伸ばしていって、墨をする部分が少しになってしまった硯を見たことがあります!
そうなる前に、こまめに洗ってあげてくださいね。
タオルは洗わなくてもOK
またタオルの話です。
墨や絵の具で汚れたタオルは、洗わなくても構いません。
洗濯機では、他の洗濯物に汚れがついてしまうので、洗うならば手洗いですね。
でも石鹸を使って洗っても、汚れは完璧には取れません。
そして、洗っても洗わなくても場合も、しっかりと乾かしてください。
墨汚れは真っ黒になりますから、何回か使って、黒さが目立つようになったら、処分してくださいね。
私はそうしています。
↑こちらの記事も参考にどうぞ
水墨画の考え方〜最後に。
今回は水墨画を描く前の心構えや、基本的な道具についての考え方などを紹介しました。
メンテナンスは面倒に感じることもありますが、使った後にすぐ手入れをするクセをつけるようにしましょう。
慣れてしまえば簡単です!
水墨画の技術を身につけることはとても大切です。
でも、長く絵を楽しむために、今回紹介したことも参考にして頂けたらなあと思います。
あなたの水墨画ライフのお役に立てることを願っています。
それでは、また。
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