ペンと紙さえあればササッと絵を描ける、
そういうのって良いだろうな、楽しいだろうな
と思いますよね。
でも、絵心がないから・・ヘタだから・・
と消極的になる人は多いと思います。
動物のイラストなどをパッと描ける人がうらやましいです。
かっこいいよね〜
絵を描くにはコツがあり、そのひとつが
「観察すること」です。
絵がヘタで・・と思っている人の多くは、
単純に観察不足(=情報不足)であることが
ほとんど。
また、基礎的なデッサンの技術を
身に付けないと!と思う人も
おられるでしょうがそんなこともありません。
絵はもともと、記号のようなものであり、
文字や情報の役割も果たします。
工夫次第で上手に見せることもできるのです。
それに何といっても、絵の世界の魅力は、
「自由」であること!
ルールはあるけど、時にやぶっても良し!
今回は、鳥を例にあげて
「なぜかこうなっちゃう・・」という絵を
パーツごとに解説して上手に見せる描き方を
解説したいと思います。
最後には、今回の
鳥の描き方のまとめと
鳥を観察するときのポイント
も紹介します。
可愛い鳥の絵、描いていきましょう。
目次
初心者がぶつかるピヨコ問題とは?
水墨画でも鳥は人気のテーマで
花と組み合わせたりしてよく登場します。
作品にする以前に、鳥を描くときにどうしても
避けて通れないのが「ピヨコ問題」です。
絵が苦手な人が鳥を描くときに、
「なぜかこうなっちゃう」というピヨコとは?
「なぜかこうなっちゃう」には理由があります。
その理由も検証しつつ、ひとつひとつ
パーツごとに改善方法を紹介していきますね。
よろしくお願いいたします!
初心者のピヨコ問題『これがピヨコです』
こちらがピヨコちゃんです。
なんとなくヒヨコっぽくなってしまうこと
からピヨコ問題と私が勝手に名付けました。
例えば、鳥を描こう、となったときに
「そう・・こうなっちゃう・・」
という人、いらっしゃいませんか?
とっても可愛らしいんですけれども
やはり子供っぽい絵であることは否めません。
ピヨコ問題は簡単に解決できます
なので、このピヨコをもっと
大人っぽくスマートな鳥に変身させていきましょう!
変身させる鳥は、スズメくらいの小さな鳥を
モデルにイメージしましょう。
(ヒヨコではなく)
このパターンが描けるようになれば
さまざまな鳥のバリエーションが増やせます。
解説では、「あたま」「ボディ」と
大きく2つに分けて、各パーツごとに
チェックしていきたいと思います。
それぞれコツがあるので
簡単に変えられますから安心してくださいね。
水墨画の鳥を簡単に描く『あたまの部分』
まずは、頭部からいきましょう。
①くちばし
②目
③頭のライン
④のど
以上が頭部に含まれるパーツです。
順番に見ていきます。
あたまの部分①くちばし
最初に、くちばしから見ていきます。
NGな点は、三角形を作り、それを真ん中で
バシッと分けていることです。
「三角形2つ」というイメージで
こうなってしまうのですが
ここをひと工夫しましょう。
工夫その①
真ん中の線を少し長めにする。
工夫その②
上下のくちばしの大きさを変える。
(上を大きめ、下を小さめ)
でも、この大きさを変えるっていうのも
イマイチやりにくいな〜という人へ。
もっと簡単に、こうしましょう。
工夫その③
「1・2」と2本だけで描く。
(横線を「1・2・3」と3本描いていましたが、3は描かない)
=くちばしの下の部分を省略します。
少し変形した三角形のような形になりますが
この三角形1つでOK。
これだと、シンプルで簡単にくちばしを
表現できて問題なし。
動画では、描く順番も説明していますので
参考にしてください。
あたまの部分②目
次に、鳥の表情に大きく影響する、目です。
上の2つの丸を比べてみてください。
つい単純に「鳥の目は丸いから」と
左のようにぐりぐりとまん丸にしがちですが
これだと子供っぽくなってしまいます。
また場合によっては、目をきれいに
丸くしすぎると、逆に作り物のような印象を
与えてしまうこともありますので、注意です。
ここは水墨画のテクニックを使います。
あえて、右の丸のように、少し乱れた感じにしてみてください。
水墨画の場合だと、筆の穂先で軽く紙をつつく
感じで、目全体を作っていくイメージです。
また、少しこなれた感じを出すには、
目に光を入れるというのもワザも
使ってみましょう。
鉛筆やペンなら、白く残して光を作るのは簡単です。
水墨画の場合だと、にじみやすいので、
気をつけてください。
また、絶対に光を入れなければならない
というわけではありませんが、
イキイキした表情が出ますので
ぜひチャレンジしてみて欲しいです。
あたまの部分③頭〜のど
続いて、頭のラインです。
これもよくやってしまいがちなのですが
頭ってつい丸くカーブをつけたくなりませんか?
しかし、これは観察不足によるNGなのです。
実際に鳥の頭を見てみると、わりと
ペタンと平たい形をしています。
なので、丸くしたい気持ちを抑えて・・・・
なるべく平たく描いてみましょう。
頭をペタンコにしてもヘンになりませんか?
大丈夫ですよ!
こんな感じです。スッキリしましたね。
頭部の最後は、のどです。
人間と体の構造がかなり違うので
小さい鳥などだとほぼ目立ちません。
でも、頭と体のメリハリをつけるポイントが
こののどの部分です。
ここを忘れて一気にボディを描くと
ピヨコ体型になってしまいます。
ほんの少しでいいので、チョンとのどを
目印のように描きます。
水墨画の鳥を簡単に描く『ボディの部分』
さて頭部が仕上がったので、次にボディの部分です。
①胸
②おなか
③背中
④しっぽ
⑤足
以上がボディ部分のパーツです。
頭部の「のど」の続き、胸の部分から始めます。
ボディの部分①胸のライン
ピヨコのボディ部分で目立つのが
この胸からおなかのライン。
ついつい、お椀型にまーるくしてしまいがち
ですが、ここで想像してみます。
鳥はよく動いてしょっちゅう何かを食べて
すぐにフンをしますよね。
あれは、余分なカロリーをためこまないため。
一部の鳥を除き、多くの鳥は空を飛ぶことができます。
もしおなかいっぱい食べ過ぎで太ってしまったら・・・
重い体では自由に飛ぶことが難しくなってしまいます。
飛べない鳥は、すぐに敵に狙われてしまうでしょう。
肥満は命に関わる重大な過失なのです!
(ある意味人間と同じですね)
だから、鳥は常にスリムな体型でいなければならないのです。
脱ピヨコ、脱メタボを目指しましょう。
胸のラインから描きます。
おなかがぽっこりになる理由は
「鳥はフカフカして丸くて可愛い」
というイメージがあるからです。
それと、水墨画の場合よく見かけるのは
のどからお尻の部分までのラインを一筆で描くこと。
でも一気に描く必要はないですよ!
この絶妙なカーブは描きにくいので
胸の部分だけ少しカーブさせたら
一旦筆を止めましょう。
ここで一旦止めます。
鳥の丸みはこの胸のカーブで表現すればOK。
のどのチョン
(休み)
胸のライン
(休み)
おなか
という風にスキマを空けつつ描けばOK。
一気に描くと失敗しがちだし、スキマのない
一筆描きは余裕がないイメージを与えてしまいます。
線と線の間に作るこのようなスキマは、「息継ぎ」のようなものです。
フワッと絵にゆとりを感じさせてくれる効果もありますよ。
水墨画でも、一筆で描くことが必ずしも正解
というわけではありませんので、
安心して途中休憩してくださいね。
ボディの部分②おなかのライン
さて、問題のぽっこりメタボおなかです。
上の画像のスズメ、こんなふうにふっくら
している状態を見かけたことはありませんか?
このスズメの状態を、「ふくらスズメ」と言います。
寒い時に全身の羽毛をふくらませて
暖かくしている様子ですね。
ふくらんだ小鳥を見ていると、ほっこりしますよね!
スズメ以外の鳥でも、毛づくろいの時や
寒い時、プクッと羽をふくらませている時があります。
このまん丸な鳥はとっても可愛らしいので
「鳥=丸い」というイメージが多くの人に
定着しているのではないかなと、私は想像します。
痩せている鳥より、ふっくらしている鳥の方が
見ていて癒されますしね。
↑胸の描き方のところで
太っている鳥はいないと断言しましたが、
太って丸く見えるのはこうやって
羽根をふくらませているだけなのです。
羽毛を全身にまとう鳥ならではのワザなのでしょう。
なので、あえてふくれている愛らしい鳥を
描きたい!という場合はOKです♪
今回はなぜかピヨコになる・・という人の
ための解決法なので、おなかスッキリラインを目指しましょう。
鳥の角度にもよりますが、今回のように
横を向いた状態の場合、おなかもほぼ
真っ直ぐスーッと横に引きます。
これでおなか側ができました。
ボディの部分③背中〜しっぽ
次に、背中のラインです。
え〜 こんなぽっこり?!
そう思いますよね。
でも案外この背中、猫背にしてしまいがち。
それもやはり、鳥がふっくらと丸いという
イメージを、多くの人が先入観として持っているからだと思います。
ではどのように背中のラインを描くか。
まずはおなかのラインからの延長で
ここがしっぽ、というポイントを決めます。
指でおさえたところがしっぽポイントです。
そしたらしっぽポイントまで、背中のラインを
すーっと真っ直ぐに引きます。
ぷっくりふくらませないで!
これで、脱猫背、姿勢がよくなりました。
あとはおなかのラインと背中のラインを
つないだところに、しっぽを描きます。
鳥のしっぽにありがちなのが、外へ向けて
バサッと勢いをつけて描くこと。
水墨画の場合でも、このようにハネて描く人がいます。
元気で勢いのあるしっぽを描きたいと思うからですね。
でも、しっぽはハネてはいけません。
その理由は、外にハネると逆に筆のちからが
散るため形が取りにくく、ボサボサと乱れたようになってしまうからです。
(ニワトリなど、特殊な形をしたしっぽの場合はまた別です)
しっぽは、最後にキュッと
筆を止めて描きます。
そうすると真っ直ぐで力強い線が表現できます。
1本で細ければ2本で描きます。
筆を止める際に、グイッと押さえすぎると
ボワっとにじむので、軽く止めてみてください。
ボディの部分⑤足
さて、ボディ部分のラスボス、足です。
手や足は、人間でも動物でも描くのが難しい
部位であると言われます。
ピヨコの足・・・
バレリーナ、もしくはカメラの三脚のようですね。
非常に惜しいところまでいっています。
まず、人間の足と比べてみましょう。
人間の足は、膝が前に曲がります。
一方、鳥の足は後ろに曲がります。
この人間の足でいうヒザかな?と思う部分、
実はここは鳥のカカトらしいです!
ヒザにあたる部分はもう少し上で、人間と
同じく前に曲がりますが、羽に隠れています。
そして、足の指の数は、基本4本です。
水辺に住む鳥などは水かきがついているので
少し形が変わりますが、多くの鳥の足は
このような指の形をしています。
前がわに3本。
後ろがわに1本。
さて、足の出る位置を考えてみましょう。
くちばしやしっぽは鳥の種類によって長さが
変わるので、本体のボディ部分だけで考えます。
ボディ部分のだいたい真ん中くらいから足は出ています。
覚え方としては、「足は体を支える部分」
としましょう。
体を支える『足=軸』となる部分が、
体のどちらかにかたよっていると、バランスが崩れますよね。
人間でも、動物でも、物でも、
このバランスによってちゃんと立つことができています。
だから、「足の位置は体の中心にある」。
そのように考えてみてくださいね。
ただ、忘れてはいけないのは
後ろに曲がったカカト部分があるということ。
よほど小さい鳥を描くとか、角度によって
足が見えづらい場合を除いて、この曲がった
カカト部分を描くことで、鳥らしさが表現できます。
逆にここを無視すると、ピヨコになるのでご注意。
足の部分を描いたら、指を描きます。
先ほどの3対1の要領で、
前に3本、後ろに1本。
この時、角度にもよりますが、向こう側の足も
描いておくと、完成度が高まります。
手前の足でカカトをしっかり描いているので
向こう側のカカトは省略してもOK。
人間の手の指は5本ありますが
親指だけがイレギュラーな位置についていて
それによって物をつかむことができます。
鳥も同じく、数は4本ですが前と後ろとに
分かれていることで
木の枝にガシッと捕まって止まることができるのですね。
また、平らなところを歩く時にも
前と後ろの指で支え合っているので
ちゃんとバランスを保つことができます。
簡単でいいので、この数と前後のバランス
さえつかんでおけば、足の指はOK。
爪や足のぼこぼこした部分は省略していいです。
(むしろ、複雑でややこしいので省略した方がいいですね)
絵はバランスを意識することがとても大切なんですね!
その通りです。
一見上手に見える絵でもバランスが崩れていると、あれ?となっちゃいます。
最後に、ボディの部分に、羽を表現するラインを1本入れました。
これで、「鳥の基本形」の完成です!
2つをを比較してみます。
だいぶスッキリとしましたね!
こちらはメジロの描き方です↓
【水墨画の描き方】鳥の観察方法
今回は、ノーマルな小型の鳥をモデルに描いてみました。
鳥は、様々な種類がいて、その姿も違います。
姿が違う理由は、鳥の住む環境、食べるエサが
それぞれ違うからですね。
どんな違いがあるのか、鳥の体の部分に注目してみたいと思います。
観察する時は鳥のここに注目〜くちばし
鳥がエサを取るために
とても重要な役割を果たすくちばし。
スズメやハトなど、小さな虫や地面に
落ちているものをつついて食べる雑食系は
小さめでやや厚みのあるくちばしです。
インコ類は、猛禽類と同じく
カギ型のくちばしが特徴ですね。
このくちばしで、皮付きの種やらを器用に
ゴリゴリむいて食べます。
ちなみに、インコのくちばしの裏側
(人間で言うと上顎のあたり)には溝があり
それによって素早く皮むきができるらしいです!
またちなみにですが、私の上顎にも突起があります。
さらに、私の義妹にも突起があることが発覚。
一度、あなたもぜひ確認してみてください。
突起仲間募集中です!
(祖先はインコなのかもしれません。)
ええーーー!!
カラスは肉食で何でも食べるので
けっこう大きくてしっかりしています。
メジロなど花のミツを吸う鳥は
小さくて細長いくちばしです。
サギなど、水辺に住む鳥は水の中の魚を
捕獲するため、細くて長いくちばし。
ユニークなのはカモのくちばしです。
カモの種類は多く、くちばしの形だけではなく
頭の形や目の色、顔の色、羽の色など様々です。
水に潜って魚も食べますが、時々、泳ぎながら水面をグワグワグワとくちばしですくうような仕草を見かけることがあるんですよね。
水面をグワグワとすくいながら泳ぐのは
ハシビロガモで、すくうのに適したスコップの
ような幅広いくちばしです。
水面で何をしているかというと
水面近くにいるプランクトンなどを食べているそうです。
スコップはまさにピッタリの形ですね。
観察する時は鳥のここに注目〜足
くちばしに次いで面白いのは、鳥の足の形。
まとめ
今回、鳥をパーツごとに細かく分けて描いてみました。
使用しているのは、筆ペンと無印のらくがき帳です。
普通にペンで描いても、水墨画で描く場合でも基本は同じです。
いちばんシンプルな描き方ですので、参考にしていただければ嬉しいです。
頭部とボディとにわけ、頭部から描く
【頭部】
①くちばしーシンプルな三角形1つでOK
②目ーまん丸ではなく少し形を崩してみる(余裕があれば光を入れる)
③頭ーまん丸ではなくペタンコに
④のどーほんの少し目印程度につける
【ボディ】
①胸ー軽くカーブさせて一旦止める
②おなかーぽっこりならないようスッと真っ直ぐにラインを引く
③背中ー猫背に注意して、しっぽのポイントまでスッとラインを引く
④しっぽーピッと外にはねず、キュッと止める
⑤足ー後ろに曲げて描く(カカト)・指は前3本、後ろ1本
この描き方は脱ピヨコのための
あくまで基本の鳥の形です。
今回紹介した、色々な鳥を観察してみて
バリエーションを増やしてみてくださいね。
特徴をうまくとらえれば、完璧に描く必要はありません。
観察することで、鳥にも興味が出て
あなたの世界が広がることを願っています!
それでは、また。
こんにちは。
墨絵師のベベ・ロッカです。