油絵
アクリル画
水彩画
水墨画
日本画
・・・・・絵画の種類はいろいろ。
中でも、水墨画は少しレアな絵画かもしれませんね。
今回は、
水墨画ってどんな絵画?
水墨画で使う道具はどんなもの?
水墨画ではどんな絵を描くの?
そんな基本的なことを紹介していこうと思います。
今さら聞けない水墨画についてのあれこれを、「質問&回答」という形でまとめてみました。
今さら聞けなかったので助かります
初心者の方も、すでに始めている方も、参考にしていただけると嬉しいです。
それでは、参りましょう!
目次
水墨画ってどんな絵?〜簡単プロローグ〜
ちょっとわかりにくいアートの世界。
現代では、制約があった昔よりもさまざまなことが自由になり、そのスタイルも人それぞれ。
とはいえ、基本的な定義というものはありますよね。
水墨画の決まりやルールはどんなものなのでしょう?
そもそも「水墨画」ってどういう意味?
やや抽象的なスタートですが、まず水墨画とはどんな絵画のことを指すのでしょう。
ちなみに、「水墨画」という名称と使っている漢字がなんとなくお堅い印象のせいか、まずこのことば自体をなかなか覚えてもらえない、という弱点が・・・。
・「水彩画」と間違われやすい
→あるある!
「水◯画」◯の中を墨と彩で入れ替えれば・・・ですね。
使う道具は違うのですが、どちらも水を使うし。
ただ決定的に違うのは、絵の雰囲気ですね。
なのでこれは単なる言い間違いってことで。
・「書道」と混同される
→あるある!
書と絵じゃぜんぜん違うでしょ〜!と思うなかれ。
墨や硯や和紙を使ったり道具に共通点が多く、筆使いも似たところがあります。
確かに、書と絵という決定的な違いはありますが、書道と水墨画の両方を習っている人も多いんですよ。
展覧会に字と絵をコラボレーションした作品を作ったり。
お軸の作品など、とても素敵です。
親和性が高いですね!
どちらも間違える気持ち、わかるような気がします。
これはおそらく・・・
「墨」という漢字のせいかもしれない、と想像しました。
非日常的で、なじみがあまりない。
ほぼ普段使いしませんものね。
黒の下に土 = 墨
墨の原料は、油などを燃やした後にできる煤なので、まさに「煤」=「黒い土」です。
これで、少しイメージしやすくなりますか?
厳密には、発祥は定かではありません。
一般的には、中国の唐代に、荊浩という画家が著作『筆法記』の中で使った「水暈墨章」という言葉が「水墨画」の元であったと、考えられています。
=「水で暈どり、墨で章どった画」
「水でぼかした墨で表現した絵」という意味合いです。
水墨画とは簡単にどういうもの?
水墨画とは、「水と墨で濃淡を作って描く絵」
基本はそう思っていただいてOKです。
間違えやすい名称の水墨画ではありますが、皆さんの頭に浮かぶイメージは、モノクローム(白と黒)の絵画であったり、山水画っぽいものであったり、ではありませんか?
それはだいたい正解です。
あくまでも「水墨画」というのは、絵画を分類分けした名前にすぎないので、作品そのものはテーマや素材など、表現も多様化してきていますよ!
絵画では、使っている材料がそのジャンルの名称にそのまま付けられている場合が多いです。
・油絵の具を使う・・・・・「油絵」
・アクリル絵の具を使う・・「アクリル画」
・墨を使う・・・・・・・・「水墨画」
画材やそれを生かした描き方によって、仕上がりや表現方法が全く違ってきます。
なので、それぞれのジャンルの個性を作品に生かすことができるのですね。
水墨画でも色を使って良いの?
これもよく聞く質問です。
「水墨画=白黒絵画なのに、絵の具を使って良いの?」
答えは「OKです」
(*現在、ご自身が教室などで学んでいる場合は、先生の教えに従ってくださいね)
昔は、さまざまな流派やルールがあったかと思いますが、現代ではゆるくなっているのではないでしょうか。
時代の感覚として、いろんなもの(使う材料やテクニックなど)が融合されていってるな、という印象はあります。
もちろん、基本的な道具や技術はそれぞれの絵画スタイルがベースになっていますが、さまざまな技法や構図、テーマを取り入れたりアレンジしたりと、みな工夫や努力をして作品を作っています。
絵描きの個性と言っていい部分でもありますね。
墨だけしか使わない、も良し。
色を使う、のも良し。
私自身は作品によって使い分けています。
墨だけではなく色を使うと、「墨彩画」と呼ばれたりすることもあります。
これも特に間違いではありません。
ただ、そうなると名称が増えてさらに覚えにくくなるため、私の場合は「水墨画」と表現しています。
ホントに名称って、ややこしいですよね。
以上が、「水墨画ってこんな感じ」というざっくりとした説明でした。
もう少し詳しい水墨画の流れは、こちらの記事で読めます。↓
では次に、一問一答形式で、よくある質問を紹介していきます。
水墨画はどこで生まれた?
水墨画は、中国で唐代(西暦700年)に誕生しました。
1000年以上前のことです。
水墨画はいつ日本で始まった?
中国から水墨画が日本へ伝わったのは、鎌倉時代(1180-1336)です。
日本だけでも800年以上もの歴史がありますね。
水墨画の3大画題とは?
水墨画で「3大画題」と言われるもの。
・花鳥画
・風景画
・人物画
です。
雪舟の活躍した室町時代では、風景画が最も素晴らしいとされていましたが、現代ではどの画題をどのように描くかは自由で、優劣はありません。
水墨画はなぜ日本で広まった?
水墨画がやってきた鎌倉時代は、武士の時代です。
また水墨画と一緒に、禅宗(仏教のひとつ)も伝わりました。
座禅を組み、瞑想するというシンプルさが禅の修行です。
禅と水墨画は名コンビとして、一緒に広がっていきます。
華美で贅沢なものを嫌い、静かに心を鍛える禅の教えは、その当時の武士の精神にマッチしたため、水墨画も同時に広く受け入れられるようになりました。
日本の水墨画として大成したのは誰?
鎌倉時代に日本へやってきた水墨画は、室町時代に日本の水墨画として確立しました。
そのきっかけとなったのは、禅僧であり絵師でもあった雪舟という人物です。
水墨画の雪舟とはどんな人?
雪舟については、こちらに詳しい記事がありますのでぜひどうぞ。↓
水墨画と墨絵の違いは?
「水墨画」というのは、水と墨を使ってぼかしやにじみ・濃淡で表現される絵です。
「墨絵」というのは、墨を使って描いた絵全般のことです。
違いというものではなく、「墨絵」という大きなチームの中に、水墨画というジャンルが存在する、というイメージを持っていただければOKです。
水墨画を英語で言うと?
酒(sake)
カラオケ(karaoke)
交番(koban)
禅(zen)
などなど、英訳せず日本語のままで通じるものは結構ありますよね。
水墨画もそのひとつで、水墨画より「墨絵」(sumie)の名称の方がなじみがあるようです。
辞書などで水墨画を英訳すると、
ink painting
indian ink painting
などという表現が見つかりますが、個人的にはインクという言葉がしっくりこないので、ここは日本語の sumie の方が自然だなという感じはあります。
大丈夫、通じます!
水墨画は何がすごいの?
水墨画の魅力は・・・
・にじみやかすれ(水と墨のコンビネーションで変化をつける)
・余白の美(紙の白さを残し、「描かずして描く」という表現は水墨画ならではのもの)
・墨の濃淡表現(墨に五彩あり、と言われます)
・一発勝負!(絵にもよりますが、何度も描き重ねることができない)
などなど。
他の絵画にはない、独特の個性と魅力があります。
水墨画は何を描く絵画?
最初の方の質問とダブりますが、大きく3つのテーマに分けられます。
・風景画
・人物画
・花鳥画
です。
ずっと昔は、水墨画は風景画が一番優れて良いものだ、とされている時代もありました。
でも現代ではそんなふうに限定されるものではなく、具象から抽象まであらゆる表現が可能なのが水墨画です。
また、画家(描く人)によって描くテーマや作風が全く違う、と思っていただいて構いません。
水墨画の有名な作品(人)は?
水墨画の代表作と言われる作品(人)を紹介した記事がこちらです。↓
水墨画の日本の中国との違いは?
中国の水墨画は、対象物の輪郭線をしっかり描くことが多いです。
なので、クッキリ・ハッキリした印象の絵が特徴です。
また、中国の水墨画は、叙事的であると言われます。
一方、日本の水墨画は、水を巧みに使い、ぼかしやにじみを使った表現を生み出しました。
なので、柔らかい・シンプルな絵が特徴です。
また、日本の水墨画は、叙情的であると言われます。
・叙事とは・・
ものごとをそのまま客観的にとらえ、論理的であること。
・叙情とは・・
ものごとに対する感情を表現し、想いを込めること。
まったく正反対であるということですね。
ということは、一般的に、作者の想いや感情などをグッと込めて伝える絵や音楽などのアートは「叙情的」ってことだな、と思えます。
私の例ですが・・よくレッスンでこんなふうに説明します。
「この花の形はキッチリ描くとこうなっていますが、説明くさくなっては良くないので、省略してこんなふうにサッと描きます」
などなど。
全部描く必要はない。
見て、ああ、あの花だな、と分かれば良い。
もっと言えば、何の花かわからなくても良い。
日本の水墨画の良いところは、
「省略し、余白を作り、観る人の想像にまかせる」
そんな感じですね。
まとめ
今回は、簡単な(よくある)水墨画についての疑問にお答えしました。
水墨画は、長い歴史を持つ伝統文化・芸術のひとつでもあります。
とっつきにくく縁遠い印象はありますが、そうでもありません。
使う道具はシンプルで、手軽に描けるものなのです。
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水墨画に興味を持って、楽しんでいただけたら何よりです!
それでは、また。
こんにちは。
墨絵師のベベ・ロッカです。