水墨画で簡単に描ける花はコチラ

水墨画の竹の描き方:カスレ・技法を使ったリアルな表現にチャレンジ

べべ・ロッカ

こんにちは。

墨絵師すみえしのベベ・ロッカです。

水墨画の基本テーマとして最初にあげられるもののひとつに、「四君子」があります。

四君子とは、蘭、竹、菊、梅のことを指します。

中国では、これら4つの草花が持つ美しさと気品は、植物界の「君子」として讃えられてきました。

またそれぞれ四季を代表する植物であることと、描いた時の線や面の表現の中に、重要な運筆が含まれていることから、水墨画の基本技法を学ぶ画題としても「四君子」は定番となっています。

・春=蘭
・夏=竹
・秋=菊
・冬=梅

四君子「梅」の描き方はこちら↓

今回は、四君子の中の「竹」を一緒に描いていきましょう!

水墨画3分動画レッスンー竹を描くー

それでは、水墨画3分動画「竹」を見ながら、解説していきたいと思います。
(動画では解説はありませんが、音が鳴ります♪

動画は2分14秒ととても短いですが、しっかりと特徴をとらえていきましょう。

水墨画で竹を描くー「竹稈(ちくかん)」

まず初めに、竹稈(ちくかん)を描きます。

これは、樹木で「幹」に当たる部分です。

竹稈ちくかんはまさに竹そのものとも言える部分。
花はなくとも、葉を省略しようとも、この竹稈の部分だけを描くことで、誰もが「竹だ」とわかる、重要な部分です。

大胆に真ん中の節のところからスタートします。
運筆は下から上へスッと。

竹は、節のところが少し膨らんだように太くなっています。
その部分を表現するには、紙に筆を置いたときに、少しだけ押さえるようにします。
(漢字の一をタテに描くイメージ)

強く押さえすぎるとバッと余分ににじむので、注意してください。

2節分上へ向けて描きました。
次は真ん中から下へ向かいます。

この時も、筆を紙にグッと押さえすぎると、竹らしさを表すためのカスレが出にくいので、注意。

筆に墨は含ませすぎず、穂先は綺麗に整えず、あえてバサっとなった状態で続けて描くとカスレが出やすいです。

ただ、筆に墨を含ませた潤筆(じゅんぴつ)の状態でスーッと描く表現も、私はありだと思います。

絵を料理に例えてみましょう。

水墨画における水加減は、料理における塩加減のようなもの。
味見しつつ、試しながら楽しみながら、自分の絵を作っていきましょう。

3つ目で下へおりました。

この時に、まっすぐきれいに描いても良いのですが、わざとゆがませることで、竹のしなりと力強さを表現できます。

これで太い方の竹稈が出来ました。

その隣に、同じ要領で細めのものを描きます。

2本は並行ではなく、少し角度を変えると良いですね。
あと、筆のリズムは一定になりがちなので、2本の節の位置が同じにならないよう、意識して下さい。

節を全て描きます。
漢字の小さい一を描くイメージです。

水墨画で竹を描くー「枝」

次に枝を描いていきます。
枝が出る場所は、「節」のところです。
竹稈のなんでもないツルツルした部分から適当に描かないように注意!

細い枝にもがあります。
それらを細かく丁寧に描くと、よりリアルさを表現できます。

ポキポキと枯れた枝を入れつつ、長い枝を描く。
長い枝に葉を足していきます。

水墨画で竹を描くー「葉」

さあ、いよいよ葉っぱです。
細い枝をスッスッとリズム良く伸ばしたら、そこに葉っぱを描いていきます。

筆を縦にスッと引きます。
少し、起筆(描き始め)を引っ掛けるようにしても良いですが、あまり押さえすぎると葉の形が変わってしまうので、軽く。

描き方を変えると、色々な葉っぱの表情が豊かに表現できます。
同じ葉の連続にならないよう注意。

大きいもの、小さいもの、細いもの、太いもの、また、下向き、横向き、上向きなど、変化をつけて描くのがポイントです。

さらに、墨の濃淡をアクセントにして、主役(濃い葉)と脇役(淡い葉)を混在させましょう。

水墨画で竹を描くー「葉」〜便利な技法を使う!〜

と、いっても葉っぱを自由自在に変化をつけて描くのは、いかにも難しそう!

でも大丈夫です。

そんな竹の葉を描く時に、とても素晴らしい技法があります。

それは、

介字法かいじほう

个字法こじほう

魚尾法ぎょびほう

と呼ばれるもの。

いかにも小難しそうなネーミングですが、初心者でもすぐにトライできるとても便利なテクニックなのです!

介字法かいじほう个字法こじほうとは、葉を連続して描いてゆく時に、介や个の漢字の形みたいに、配置していけばいいよ、という技法です。

上の画像で、赤い丸をつけている部分が、介字法かいじほう个字法こじほうを使っています。
その部分だけではなく、全体に散りばめられています。

常に意識して描くことで、うーんと、・・・と葉のバランスをいちいち気にしなくて済むところが、良いですね。

魚尾法はその名の通り、魚の尾のスッとした形に似せて筆をスッと引く、という技法です。
確かに、めだかの形と竹の葉の形は似ていますね。

(↓参考:水墨画3分動画「メダカ」の描き方・・・音が鳴ります♪)

そして、これらの技法を使った葉を組み合わせてゆくと、竹の葉「らしさ」が簡単に表現できるのです。

最初は、葉そのものの描き方など、細かい点は置いておきましょう。

この便利なテクニックを使った方が竹を描くには近道です!

少し慣れたら、柔軟に描こう

水墨画ではこういった技法やルールがたびたび登場しますが、あくまでも基本的な考え方であって、その描き方をしていればOK!また絶対こうでなければいけない!というわけではありません。

もし介と个の葉っぱのチームが規則正しく連続してしまうと、単調で面白みのない絵になってしまいます。

ただ、先人の知恵や工夫は、やはりあなどれないもの。

色々実験して、試行錯誤した結果、「これがいいんじゃない」と生まれた技法の数々は、ありがたいお手本として今に生きているのです。

うまく取り入れて生かすことで、自分の絵にピリッとしたアクセントが生まれますよ。

水墨画の竹を描くときの注意点とうまく見せるコツ

さて、水墨画で描く竹、3つのパートに分けて紹介しました。

重要なポイントをまとめます。

水墨画の竹ー①竹ポイント3つ

・竹稈は伸びやかに、ワイルドに。

・節と節の間は単調に成らないよう、長さと形に少し変化を

・1本だけではなく太さの違うものを数本描く。

水墨画の竹ー②枝ポイント3つ

・枝にも節を忘れずに。

長い枝には葉をつけて、短い枯れた枝もプラスするとよりリアルに。

・枝のカーブはだらんとならないようにしなやかに。

水墨画の竹ー②葉ポイント3つ

介字法かいじほう个字法こじほうを入れると簡単に竹っぽさを表現できます。

・同じ葉の連続にならないよう変化をつけます

・変化をつけるためには濃淡も生かしましょう。

【水墨画花を描く】竹はとてもユニークで謎だらけな植物

竹は四君子の中で他の花と違う雰囲気があります。

まず、花という表現は・・・ちょっと使いづらいですよね。
蘭の花、菊の花、梅の花。
四君子の他の花たちはみな、それぞれどんな花か思い浮かべることができますが、竹の花って・・??

竹自体はわりと身近な植物で、山の中だけではなく家の近所などでも見かけることがありますよね。

でも、竹の花を見たことがある人は非常にまれです。
(私の師匠は子供の頃に見たことがあるとか!)

その花は、60年から120年の周期で咲き、一斉に開花すると一斉に枯れるそうです。

それに、そもそも草なの?木なの?何なの?と思いませんか?
そのどちらでもなく、竹は竹という種類の植物なんだそうです。

滅多に花が咲かないということは、どうやって子孫を増やすのでしょう?
竹は花に頼らずとも、地下茎で繋がって仲間を増やすのです。

竹林が1つあれば、それは1つのファミリーであり、全部繋がった元々1つの竹であるとも言えるのです。
なので花が咲き終わり生命が終わるときは、一斉に枯れるのだそうです。

知れば知るほど不思議ですね〜〜!

そんな個性的な植物、竹のビジュアルは水墨画で表現するにはピッタリの画題ですね。

まとめ

いかがでしたか?
細かい点を意識すると、少し難しく感じられるかもしれません。
それに竹はなんといっても四君子の1つです。

四君子は、どれを取っても「君子」と言われるだけの凛々しさ、気品、パワーを感じられます。

四君子「菊」の描き方はこちら↓

中でも竹は、私にとってはとても不思議でミステリアスな植物のひとつ。
絵にもなるし、さまざまな分野で研究されたり、特性を生かしてものづくりに利用されていたり。

強くて、繊細で、竹を割ったような性格、と言われるように1本芯の通ったところがあるなと思います。
(中は空洞なんですが)

描く前にいちどは実物をよく観察して、理屈ではなくその生命力を感じて頂きたいです。

それでは、また。

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