「藤の花」といえばどのようなイメージがありますか?
キレイな藤色が好きです
そりゃあ鬼滅でしょ!藤は鬼が嫌いな花だもんね
漫画「鬼滅の刃」では、鬼が藤の花を嫌い、寄りつかないという設定がされていました。
漫画でそのエピソードを知った時、鬼の苦手な花が藤かあ・・・と、絶妙な花のチョイスに感動しました。
・藤棚にからみついて伸びるツル。
・スーッと垂れ下がって咲く薄紫の花。
・独特な香り。
和(日本)のイメージもあるし、品も感じるし、独特の個性があり・・・やはり、絶妙なんですよね。
藤は、花+葉+ツルと特徴がはっきりとしているので、その特徴をつかんで活かせば、水墨画で描くにも非常に美しく、まさに絵になる花です。
墨でも色を使ってもどちらでもかまいませんが、私はやはりあの「薄紫」という色も、ミステリアスさをかもし出す理由になっているのでは?と思うので、まずは色で描いてみてはいかがでしょうか?
・鬼滅の刃で藤の花に興味が出た
・藤の花が好き
・水墨画で藤の花が描きたい
このような方におすすめの内容です。
華やかな藤を描いて、鬼を蹴散らしましょう!
目次
【水墨画の花】藤の描き方ー動画でレッスン
まずは、動画をサラッと見てみてください。
描く順番は、花→ツル→花→葉・・・とあちこち移るかもしれませんが、この通りにきっちりする必要はありません。
大まかな流れを参考にしてみてください。
・花:群青、紫、墨
・葉:墨
・ツル:墨
では、花から順番に描いていきます。
【水墨画の花】藤の描き方ーパーツごとに説明
藤は、どこから描いたら良いのか迷いそうな複雑さがありますが、パーツごとに順番に描いてゆけば大丈夫です。
藤の描き方1:花の「房」の土台
花は、群青(青)・紫・墨を使います。
まず、上の花びら画像の、①の部分を2回でふんわりと描きます。
同じ調子で、連続的に花を描いていきます。
ここで、ポイント。
正面を向いた花と、横向きの花の幅を少し変えて、変化をつけます。
さらに、下にいくにしたがって、花びらはつぼみになるので小さく描いていきます。
これで藤の花の①の部分、ベースができました。
次は、太い方のツルを描きます。
藤の描き方2:大きなツル
ツルを墨で描きます。
筆を立てて、まっすぐ引いていきます。
ツルはくねくねと曲がっているので、筆の方向を変えながら変化をつけて描きます。
こういった、動きのある運筆は水墨画ならでは。
楽しんで描いて欲しいです。
キレイにまとめようとするより、勢いをつけてリズムよく描きましょう。
次に、墨で花の房の中心にある軸を描いておきます。
藤の描き方3:「房」に花を追加する
先ほど描いた房にもっと花を加えてゆきます。
次に、群青色を使って、花の②の部分を描きます。
↑この②の部分ですね!
最初に描いた①の花びらの下方に、群青を使ってチョン、チョン、と置くように②の部分を描いていきます。
②の部分を青で描いてゆくと、一気に藤の花っぽさが出ますね。
同時にアクセントとして引き締まります。
ブドウの実のように、花びらひとつひとつは、中心の軸から出ています。
花の全体ができたら、次はその部分を墨で付け足していきます。
さらに花の房全体が締まりました。
藤の描き方4:葉(中心の軸→葉)
次に、墨で葉を描きます。
葉の部分を描く前に、中心の軸を線描きします。
葉も、花と同じくツルから出ています。
バラバラにしないよう、花と葉の軸が出るところをまとめるとバランスが良くなります。
軸を中心にして、互生の葉を右、左、と描いてゆきます。
少しずつ変化をつけるとイキイキした感じが出ます。
葉と葉が重なる部分も作ると、藤のワサワサ感がアップします。
さあ、最後はキメの部分、ツルを描きます。
藤の描き方5:細いツルをからませる
先ほど描いた太いツルよりも細いツルを描きます。
シュンとはらった筆の先が遠く離れています。
これは、筆の勢いとリズムによるものです。
空中でも描いているかのように、腕を動かしているので、その余韻が残っている状態です。
(筆が踊っているように見えます。動画で見てみてください。)
↑このクルクルも、筆の勢いとリズムで、空中に余韻が残っています。
↑ここも、余韻があります。
藤の花、完成しました!
【水墨画の花】藤ってどんな植物?
藤は、マメ科の植物で、4月中旬から5月初旬が開花時期です。
藤色の花は美しく豪華なので、ツル性を利用して公園などに植えられているのをよく見かけます。
万葉集にも登場するので、600年ほど前にはすでに存在していた花だとわかります。
藤の「花」の特徴
藤の花は、房状になって垂れ下がって咲くのが特徴です。
花の色は、藤(淡い紫)色が一般的です。
花が終わった後は、サヤに入った豆の形をした長くて大きな実ができます。
ただ、この豆のような実は、1つの房に2、3個しかできないそうです。
なのに多くの花をつけるのは虫を呼び寄せるためで、ほとんどが実のならないアダ花のようです。
藤の「葉」の特徴
葉は柔らかく淡い緑色で、新緑の季節にぴったりのさわやかさです。
軸を中心に、左右対称につく特徴があります。
この葉の形も、藤らしい個性と言えます。
藤の「ツル」の特徴
藤のもうひとつの個性は、ツル性ということ。
藤のツルはとても丈夫で強いので、カバンや椅子など工芸品としても使用されることが多いです。
【水墨画の花】藤を描くときのポイントと注意点
藤の「花」の描き方ポイント
動画のように、花びらを先に描いてもよいし、中心の軸を軽く描いておいてから花を足していってもOKです。
花びらひとつひとつを細かく描くよりも、房全体のバランスをよくみて描きます。
花は房の根元の方から先に開花していきます。
なので、房の先端に向かって細く、つぼみを増やしていくように描くと、良いバランスが作れます。
藤の「葉」の描き方ポイント
藤の葉の形はとてもわかりやすいです。
側筆(筆を寝かせて)描くと、丸みが出ます。
直筆(筆を立てて)描くと、すっきりとした葉を描けます。
こんなふうに連続した葉を並べて描くときは、同じ形になりやすいので、意識して描き方を変え、変化をつけることが大切です!
藤の「ツル」の描き方ポイント
私はツル性の植物を描くのが好きなのですが、ツルを描く時に大切なのは、リズム!
そして全体の形。
実際のツルはくるくると丸くからみつきます。
そのまま丸く描くとマイルドな雰囲気になります。
動画のようにキュキュッと描くとシャープな印象になります。
【水墨画の花】鬼滅の刃に登場した藤の花の毒とは?
藤の花は加熱すれば食べることができるそうです。
(天ぷら・ジャム・塩漬けなど)
しかし、マメ科の植物にはレクチンなどの毒が含まれていて、生では食べられないので十分な加熱が必要です。
藤の毒は、頭痛、吐き気、めまい、失神などの症状を引き起こしてしまいます。
「鬼滅の刃」で藤の花は鬼が忌み嫌う花として登場しましたね。
藤のエピソードが出てきたのは次のシーンです。
(ネタバレ含みます)
最終戦別:藤襲山(ふじかさねやま)
鬼殺隊に入隊するための最終選別が行なわれたのが「藤襲山」です。
この山のふもとから中腹までは、藤の花が一年中狂い咲いているため、生け捕りにされた鬼たちは山から出ることができないのです。
カラスのお守り
鼓の屋敷で、元十二鬼月の「響凱」を倒した時。
稀血(1人で50人〜100人分の人間に相当するという)と言われる子供を屋敷から救い出しました。
その時、炭治郎の鎹鴉が、身につけていると鬼除けになるという藤の花のお守りを稀血の子供に与えました。
この時点で、炭治郎、善逸、伊之助の3人が揃ったんですよね!
なお、戦いで疲れた3人は、その後「藤の花の家紋」がついた屋敷で、食事や、医者の診断を受け、ゆっくり休息したのでした。
「藤の花の家紋」の家は、以前鬼狩り(鬼殺隊)に命を救われた一族なのだそうです。
だから炭治郎たち鬼殺隊は、無償で至れり尽くせりの歓待を受けることができるのです。
岩柱・悲鳴嶼行冥(いわばしら・ひめじまぎょうめい)
悲鳴嶼行冥は、身よりのない子供たちと共にお寺で暮らしていました。
彼の住む地域では、夜になると鬼が忌み嫌う藤の花のお香を焚く習慣がありました。
蟲柱・胡蝶しのぶ(むしばしら・こちょうしのぶ)
胡蝶しのぶは、非力で鬼の頸は斬れない代わりに、柱の中では唯一、鬼を殺す毒を独自で作りだしました。
那田蜘蛛山では、十二鬼月である「累」がニセモノの家族として従わせていた鬼を、藤の花の毒で倒しました。
また、最終決戦で上弦の弐「童磨」との戦いに使った藤の花の毒は、鬼の珠代と共に作ったものでした。
藤の花の毒を長い時間をかけて摂取し続け、毒で満たした自分の身体を、姉の仇である童磨に喰わせるという壮絶な最期でしたね。
「大正時代」
「和もの」
「ホラー要素」など、
鬼滅の刃のあらゆる設定に、藤の花のテイストは見事にマッチングしているように思います。
鬼滅の刃、何回観ても面白いですね!
まとめ
藤は、観賞用として人気が高く、日本のあちこちに観光スポットがありますね。
藤色は上品で落ち着きを感じさせると同時に、紫色の持つ高貴でミステリアスなイメージはとても魅力的なものでもあります。
満開の藤棚は豪華で圧倒されますが、花をじっくり見ると、マメの花とそっくりで親しみも湧いてきますね。
なんか藤の花が特別に思えてきたな
・花:全体の房のバランスを大切に描く
・葉:決まった形があるので、それを丁寧に描く
・ツル:クルクルとツルを巻いてアクセントに
・墨だけでも色(薄紫)を使ってもOK
墨や色を使い分けていろんな花を描く方法↓
高貴な藤の花を描いて、鬼を蹴散らしましょう。(2度目)
それでは、また。
こんにちは。
墨絵師のベベ・ロッカです。